図書館のE-Book貸出しに否定的対応をとり、最大手のOverDriveとの関係も絶ったペンギンは11月19日、図書館向けE-Book販売、貸出管理プラットフォームを提供するベイカー&テイラー(B&T)と3Mの両社と提携強化したことを発表した。昨年末に同業のOverDriveとの取引を停止したペンギンだが、この両社を使って図書館市場への取組みを強める気配だ。しかし、どちらもKindleには対応せず、1年更新という条件付だ。図書館にとっては魅力的ではない。
大手出版社と図書館との“冷戦”はいつまで続くか
B&TはAxis360、3MはCloud Libraryというプラットフォームを持っており、戦略的に図書館事業を重視している。ペンギンはこれまでも両社と図書館関連での取引があったが、対象書籍/地域はかなり限られていた。今回の提携条件は、(1) 刊行後半年は図書館への提供はしない、(2) 利用は同時に1人だけで、1年間のみ有効、(3) Kindleは利用可能にしない、となっており、図書館にとってあまり魅力的でない(1年間に貸し出せるのはせいぜい10数回)上に、「Kindleお断り」という条件が付いている。つまり、OverDrive=Kindleのラインを排除したわけだ。OverDriveが提供するタイトルをKindleで借りる利用者は、直接アマゾンのサイトからダウンロードすることになるのだが、これを嫌ったものだ。
現状では大手出版社の対応はいずれも前向きではない。ランダムハウスはすべてのコンテンツを特別高い価格で提供。ハーパーコリンズは26回という貸出し回数制限付、アシェットは2010年4月以前のタイトルに限定し、価格も220%割り増し、マクミランとサイモン&シュスターは図書館の貸出しを認めていない。◆ (11/22/2012)