P2P海賊善玉説にRIAAが反論

P2Pによる違法ダウンロードは、日本でも罰則が強化されたが、P2Pは必ずしも著作者にとって悪いものではないという主張も根強く、そうした研究や調査も発表されている。そしてメディア研究のメッカである米国コロンビア大学は最近、音楽ソースについてそれを裏付けるような調査結果を発表した。米国レコード協会(RIAA)は、市場調査会社のNPD Groupのデータを用いて反論するとともに、アンチP2Pキャンペーンを強化している。この決着は、やはり客観的な調査に基づくデータでつけるしかない。

BitTorrent のようなP2Pサービスを使ったメディア共有と消費行動の関係について、コロンビア大学が米国とドイツで行った初の総合的調査の結果は、コンテンツ業界に衝撃を与えた。共有者は海賊どころか、むしろ非共有者より30%多く購買する“上客”である、また音楽ビジネスにとってはオンライン・コピーよりオフライン・コピーが問題…といった結論は、かなりセンセーショナルに受け止められている。そこでRIAAは反論のキャンペーンを始めた。

11月12日にWebサイトの Music Notes Blogに掲載されたジョシュア・フリードランダーVPの記事「違法ダウンロードの解析結果をどう評価すべきか」において、それらは全体像を正しく認識していない、と反論している。コロンビア大の調査は、比較の対象を間違っており、音楽に関心がある層(違法ダウンロードも購買行動も活発に行っている)と音楽への関心がないかもしれない層と比較するのはフェアではない。他方で、NPDのデータによれば、P2Pダウンローダーは平均的な音楽消費者の消費額(年間90ドル)よりも50%も少ない、と彼は述べている。

違法ダウンロードの「市場」は10年前よりはるかに複雑化している、というのは確かにそうなのだろう。しかし、NPDのデータも決定的なものではない。「平均的な音楽消費者」の定義、調査方法に依存する政治的概念である可能性があるからだ。対立する両者が議論を噛み合わせるには、前提と判定基準を共有する必要がある。

日本の出版産業は「デジタルによって音楽産業が没落した」という立証されていない仮説に基づいて、著作隣接権の拡大、管理、罰則の強化という危険な政治活動に向かっている。客観的なデータの評価に基づく公開の議論は、いま最も必要なものだろう。メディア産業によって神聖不可侵のように扱われている著作権は、19世紀の財産権概念であり、見直しは必至となっているからだ。  (鎌田、11/15/2012)

参考記事

File-Sharers Buy 30% More Music Than Non-P2P Peers, 10/15/2012, TorrentFreak

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