アマゾンは12月6日、Kindleストアをブラジルでオープンした。ポルトガル語のコンテンツは、パウロ・コエーリョなど重要なブラジル人作家の作品を含む1万3,000点。E-Readerは40レアル(約1万2000円)から。Kindleの非英語圏への展開は2011年からで、同年にドイツ、フランス、スペイン、イタリアがオープン。今年は日本で開店していた。そして先週には、KoboとGoogleも参入した。アップルもiBookstoreを披露している。躍進するBRICS市場の重要な一角とはいえ、ブラジルがこれほどの注目を集めるのはなぜか。
書店とベストセラーリストがその国の文化水準を物語るとするならば、Kindleのブラジル・サイトの顔は、十分に立派なものだ(そして日本サイトの顔はあまり見たくない)。特に、世界的に知られた作家、パウロ・コエーリョの全16作品を揃えたのが効いている。日本ではなじみの薄いブラジル文学だが、数百円で手に届くものなら、ポルトガル語学習者を中心に関心が高まるだろう。ほかに、ジョルジェ・アマード、カルロス・エイトール・コニー、マルタ・メデイロス、それに日本でも翻訳があった魔術的リアリズムの巨匠ジョアン・ギマランエス・ローザも。デジタル時代に入っての「世界文学」の発見は、文学の世界市場の急成長をもたらすことは間違いない。◆ (12/13/2012)