Web出版環境PressBooksがオープンソース化

オープンソースのブログCMSで最大シェアを持つWordPressをベースとしたDIYオーサリング・ツールのPressBooksが新年1月末をめどにオープンソース(GPL)になることが発表された。これによりソースコードを使った様々なカスタマイズが促進され、Webをベースとした出版プロジェクトの企画・運営が個人から企業まで、商業出版から企業出版まで、スケーラブルな環境で実現できることになろう。EPUB/PDF/Webbook/XMLの4形式をサポートするオープンソース環境は大いに期待が持てる。

紙、EPUB、Kindleを一つの出版・製作環境で

PressBooksは、オライリーから出版した本で知られるヒュー・マガイア氏らによって開発されたプロ用出版ツールである。WordPress用の出版ツールとしては、Anthologize や Epub Export があり、日本でも試用されていたようだが、実験的なもので実用には遠く、しばらく更新されていない。PressBooksがこれらと違うのは、現実のビジネスで使われているということだ。有償のサービスも行われており、テーマ/デザイン・テンプレートのカスタマイズ、独立系小出版社のための出版環境構築サポートを提供している。これらの事業は今後も継続される。

PressBooksはWordPressのコンテンツをEPUB (iBooks、Nook、Kobo)で出力し、さらにKindle形式に変換する。またオンデマンド印刷用のPDF、InDesign用XML出力も行う。それだけではなく、オンライン・プラットフォームへの送信や、直販の管理を行うこともできる。また、検索エンジンに見つかりやすいWebブックでも出力できるので、コンテンツの一部ないし全部を(ブラウザ向けに)公開し、アクセス解析やプロモーションに使うことが出出来る。総合的な出版・製作プラットフォームと言える。EPUB/Kindle、PDF、Webブックの3種類は、今日の出版の基本だが、これらを同時に出力できるのが最大の魅力と言える。EPUBのサポートレベルは2までで多言語拡張や固定ページは、オープンソース化以降のプロジェクトあるいはカスタマイズ作業となり、無償あるいは有償で提供される。

これからの電子出版のベースにWordPressを使う意味はざっと以下のようなことになろう。

  • E-Bookの製作プロセスにおいて、オーサリングはその一部であり、DTPがそうであるように手戻り(rework)は何度も、あらゆる段階で発生する。データやツールはHTML/CSSベースで統一するのが現実的で安くつく。
  • 基本的にツールに依存しないCSSのライブラリとして、紙(PDF)とデジタル(EPUB)出版用に使用するレイアウトのテンプレートを蓄積することが出来る。
  • 電子出版には電子的なコンテンツ管理システム(CMS)が不可欠だが、複数の人間が協力して作業を行えるように、オープンで、柔軟で、進化し続けなければならない。これは一企業の手に余る。
  • オープンソースの価値はコミュニティの技術レベルと文化によって決まる。テーマ、プラグイン、日本語環境とそれらの拡張も含めて、WordPressのコミュニティは最高レベルにある。

要するに、電子文書のオーサリングとコンテンツ管理はこれまで30年あまりにわたって、様々なメーカーの多種多様な製品で行われてきたが、進化する構造体としてのドキュメントの性質上、オープンソースにする以外にユーザーのニーズに十分に応えられる方法がなかったということだ。(鎌田、12/20/2012)

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