Kindle Fireは月3ドル稼いで20%超の利益率

米国の調査会社ABI Researchは1月16日、モバイル・アプリケーション市場サービスの一環として、アマゾンの共助型(cross subsidization)エコシステムを構造的に分析したレポートを発表した。Kindle Fire発売後の1年を追跡した調査に基づいたもので、コンテンツアプリで毎月平均3ドルのマージンを稼いでいくだけで、稼働期間を通しての収益は20%になると推定しており、またあらゆるプラットフォームにアプリを提供しながら、なおKindleデバイスを必要とする理由も示した。

Kindle Fireはエコシステムにおける“防御の手段”

「モバイルアプリとコンテンツ・エコシステムとしてのアマゾン」 (Amazon as Mobile App and Content Ecosystem)と題されたこの短いレポートは、異種の事業を複合する共助的増分的(incremental)なビジネスモデルにかなり迫っていると思われる。レポートを担当した同社の上級アナリスト、アーポ・マーカネン氏によれば、モバイル・ハードウェアは、5年以内にハイプ・サイクルにおけるイノベーションの台地 (innovation plateauing=下の図)の常態に達するとみられるが、それは確実にアマゾンに有利に働き、ハードにおいても利益を上げることも可能となり、少なくとも部門間の所得移転のようなことは不要になるだろうという。

アマゾンはKindleデバイスと同時に、すべてのOS向けのアプリを提供しているが、ダウンロードされたアプリの総数は1.8億にも達する。他社プラットフォームに浸透したアプリだけで十分ではないかという考えも成り立つだろう。なぜアマゾンは自社デバイスを必要とするのか? この問題について、マーカネン氏は、「Kindle Fireは一見、新市場への積極的進出のように見えるが、実際には防御の必要から生まれた。もしPC以後の将来をWebとアプリだけでやっていくとしたら、アップルやGoogleのような(OSを押さえる)ライバル対して弱い部分を曝け出すことになっていた。プラットフォームを持てば、ユーザーとの関係はよりスムーズになるので、そうした関係はサードパーティに対する武器となる」と述べている。

たしかに、アップルでもGoogleでもないアマゾンが、この2大プラットフォームで、それぞれのオーナーに一歩譲るということはあり得る。アプリはデバイス(実行環境)への依存度が高く、2010-11年の段階ではHTML5も可能性に過ぎなかったからだ。デバイスに依存しないクラウド環境は、E-Bookでこそ成功していたが、アプリでは未知数だった。実際、多くのアナリストや業界人が、アップルがリードするデジタルコンテンツ市場を予想した。しかし、そうはならず、形勢はますますアマゾンに有利に見える。それはなぜか。別の記事でさらに検討してみたい。 (鎌田、01/31/2013)

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