自主出版支援サイトLuluが自社販売分のDRMを撤廃

自主出版支援サービス/プラットフォームのLuluは1月8日、直販コンテンツについてDRMの使用を停止すると発表した。アマゾン、アップル、B&Nなどから販売される分については、引続きそれぞれのDRMの下で販売されるという。DRMを外す理由は2点。DRMソフト使用料と消費者(読者)との関係である。前者は海賊対策としてアドビに支払われる直接的・明示的なコスト。後者はプラットフォームに顧客管理を委ねることによる間接的・潜在的“コスト”だ。海賊の脅威が薄れるにつれ、DRMのコストが重くなる。

本の社会性を否定するDRMのコストを見直す時期

Luluの発表は「アマゾン、アップル、B&Nのような企業は、購入、ダウンロード、読書まで一貫してサポートする読書体験を提供し、それぞれに素晴らしいサービスされていますので、Luluが発行し、書店サイトから販売されるタイトルについてはこれまで通り版権管理が付いています」と述べている。つまり、DRMが嫌いな人はEPUBとPDFでうちから買ってください、というオライリーのようなスタイルをとるということだ。同社のブライアン・マシューズEVPは、大型オンライン書店を通すことの意義を強調しつつも、DRMを外すことが「摩擦を減らし、選択を増やす」ものであるとコメントしている。年来のDRM不要論者であるSmashwordsのマーク・コーカー氏は「DRMがファイル共有を邪魔することは間違いない。しかし海賊版を防止するかどうかは本当は重要ではない。問題は( 消費者が負担するアドビへの支払いのほかに 、出版活動を複雑にし、本を消費者から遠ざけ、口コミを妨げ、満足を減らす)DRMのコストと、DRMフリーにするメリットのどちらを重視するか、ということだ」と述べている。

DRMの技術はアドビのリーダ(Adobe Digital Editions)が提供するADEPT (Adobe Digital Experience Protection Technology)が代表的だ。これは独自技術だが、Kindleを除く多くのプラットフォームはADDEPTあるいはその派生技術を使ったサーバを使用している。ADEPTを使用したプラットフォームのDRMの間にも相互運用性はなく、サービス間のコンテンツの移動を不可能にしている。このDRM技術のマーケティングにおけるアドビの拙劣さは、同じEPUBでもサービスによって使えない状況と同様、アマゾンを大いに助けたことは言うまでもない。アドビは本というものの社会性を理解していなかったというほかはない。

DRMは誰にとっても安くない。ダウンロードあたり$0.25と言われる使用料はかなりのもので、プラットフォーム側にはサーバのインストール$6,500と年間維持費$1,500がかかる。マーク・コーカー氏がこれを忌々しく思うのは当然だろう。海賊の脅威は誇張され、出版社はDRMのコストを軽視した。アマゾンは独自のDRMを開発・使用し、デファクトであるはずのADEPTとは無関係に、DRMのストレスを全く感じないようなユーザー体験を実現した。Kindleの中で。  (鎌田、01/16/2013)

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