マグロウヒルが初の適応型E-Bookを発表

マグロウヒル社の教育事業部門である McGraw-Hill Education は1月8日、ラスヴェガスのCESにおいて高等教育向けの対話型E-Book技術としては初の製品化である SmartBook™ をはじめとする適応型学習ソリューション LearnSmart Advantage を発表した(→リリース)。今日の教育における最大のトピックはITベースの「適応型」への移行だが、マグロウヒルはインテリジェントなE-Book製品でアプローチを開始した。ここで定着すれば高等教育から中等・初等へ広がっていくものと見られる。

学生・生徒の個々のニーズに合わせてパーソナライズする適応型学習(手法)は、画一的で効果が限定される伝統的な学校教育体系を補完あるいは代替するものとして期待されてきた。参加型、協調型とともに21世紀に最も期待されているコンセプトといえる。eLearning もそれに応えるために生まれたようなものだが、コンテンツと管理システム、運用技術、教育側の体制、移行プログラムが実践経験と同期して成熟しないと、すぐにモノになるものではない。そうした点ではE-Bookとよく似ている。

2009年から実用化しているマグロウヒルの学習ツールLearnSmart™は「適応型」技術としては過去の試行錯誤が反映した完成度が高いものと思われる。同社では100万人の学生が10億問もの問題に解答したデータをもとに、学習体験(LX)を向上させる「適応型」手法の改善を重ねたとしている。SmartBook™も、対話型I/Fと知識ベースを結びつけただけの、ただの拡張E-Bookではなく、適応型をサポートするラーニング・プラットフォームの中で機能するようになっている。提供の開始は本年春からで今年秋の新学期をターゲットにしている。

LearnSmart Advantage環境は以下の要素から構成される。
SmartBook:学生の知識・技能レベルに対して最適化され、読書体験の効果・効率を高める適応型E-Book。2013年春から90科目以上が提供される。
LearnSmart Prep:学生が履修するコースに合わせて事前に修得すべき予習コースを提供するもので、生理学、解剖学、有機化学、微生物学など6科目が用意されている。
LearnSmart Labs:リアルな仮想実験体験を提供するシステムで、コストと時間を費やす実験室での授業を補完するもの。生物学、化学、微生物学、栄養学などが用意されている。
LearnSmart Achieve:個々の学生の弱点を集中的に強化するもので、教授に替わって(あるいは補佐して)参考文献や読み方などを指導する。13年春に25コースのベータ版が提供される。

教育における読書体験は、読書全体の中でもかなり重要な位置を占めており、中等・初等教育ほどその比重は高い。大学の授業がしばしば“破綻”するのは、個々の学生の持つ予備知識がバラバラで、焦点の定まらないものとなるためだが、マンツーマンの指導に限界がある以上、ITによるシステムは不可欠になっている。LearnSmartの技術についてはいずれ機会を改めて紹介したい。(鎌田、01/10/2013)

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