米欧企業連合が「非書店系」で第三勢力目指す(♥)

米国の非書店系書籍流通大手 ReaderLink Digital (シカゴ) は1月7日、電子図書館ソリューションや超廉価E-Readerで知られるドイツの txtr 社(ベルリン)との間で独占的な提携関係を樹立したと発表した。txtr/ReaderLinkは、デバイスからクラウドサービスまで、量販店やデパートなどの小売店が顧客に対してE-Bookを販売するソリューションを提供する。米欧連合、非書店流通という従来にない方向からのアプローチが第三勢力を形成するかどうかが注目される。[全文=会員]

大手小売店を中心とした非書店系の流通は、米国書籍市場のなかでかなりの位置を占めている。小売店の側でも、書籍は日常的に顧客との関係をつなぐ重要な商品の一つ。しかし、E-Bookの普及によって一般小売店で販売する書籍は減少しており、チャネルとしての将来が懸念されている。ReaderLinkは、txtrの「10ドル端末」とクラウドベースのソリューションを、非書店系流通に結びつけることで第三勢力のプラットフォームを形成しようと狙っている。非書店系は種々雑多であり、容易ではないと思われるが、小売店側にニーズがある限り、ニッチとなる可能性は十分にあるだろう。消費者はどこの店で買っても、共通の txtr/ReaderLink にある個人ライブラリに保存して利用できる。txtr/ReaderLinkは、さらにE-Reader/タブレットを開発していく意思を表明している。2,000あまりの、店舗とオンライン販売サイトを持ち、数千万人の顧客を背景にした小売企業がデバイスとコンテンツを販売したら、アマゾンやB&Nと十分に対抗できるという目算だ。

eaderLink Digital(イリノイ州オークブルック)は、書籍流通大手のReaderLink Distribution Services, LLCの一部門で、ロジスティクスとデータ・マーケティングに強い。書店という閉じた世界ではなく、一般小売企業と強い関係があるのは大きな利点といえよう。他方で txtr GmbHは、10ヵ国語、約80万点のE-Bookカタログ(および無償コンテンツへのアクセス)を有し、EPUBとPDFで14ヵ国に販売している。スマートフォンとペアで使う超廉価端末のbeagleで広く注目を集めたが、クラウド・ライブラリでは高い技術を持ち、米国の電子図書館システムで最大シェアを持つ3M Cloud Libraryは、txtrのシステムを採用している。

米国では、ドラッグストアはもとより量販店からデパートまで、多種多様な小売店が書籍の販売を行っており、回転の速い売れ筋本やジャンル・フィクション、料理本などを扱ってきた。「マスマーケット・ペーパーバックス(MMP)」と呼ばれる返本なしの雑誌型流通形態をとり、日用品の「ついでに」手を伸ばして買うライフスタイルの一部だが、一般大衆の読書を支える重要なインフラで、パルプ・フィクションのような出版文化を発展させてきたのは、この存在が大きい。ちなみに日本の「識者」が、わが文庫・新書の造本品質を誇り、米国ペーパーバックの「粗悪」を貶すとき、念頭にあるのはこれ。売れ残れば廃棄する商品にまで贅沢はしない合理主義にケチをつけるのは筋違いというものだろう。また全国津津浦浦にある(あった)日本の書店の充実を誇り、米国の書店砂漠状態を嘆くふりをするのも、書籍流通に対する無知をさらけ出している。txtr/ReaderLinkのサービスは、日本でのコンテンツ流通の形成においても重要なヒントを与えると思われる。  (鎌田、01/10/2013)

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