オーディオブック版権市場ACXが軌道に(♥)

オーディオブックで最大のシェアを持つAudible.com(アマゾンの子会社)は1月30日、音声化著作権取引の円滑化のために同社が2011年に設立したAudiobook Creation Exchange (ACX)を通じたタイトルが前年の10倍にも達したと発表した(→リリース)。ACX経由のタイトルは、すでにAudible.comのプロバイダー上位3社の合計を上回っており、ACXはオーディオブック市場の成長を支えるインフラとして機能していることを示す。米国の市場は12億ドルに達し、46%がオンライン流通しており、“もう一つのE-Book”となっている。[全文=会員]

音声化著作権取引プラットフォームACXで活気づくオーディオブック市場

音声化著作権 (Audiobook Rights)は、書物を音声化し、収録したコンテンツの販売権で、米国ではカセット、CD、オンライン…とメディアが進化することで市場を拡大させてきた。商品としては、合成音声によらず、俳優や著者自身が朗読したものが主流だが、ACXは著者/著作権者と俳優のマッチメイキングを容易にすることで本の音声化商品の市場拡大に寄与している。Audible.comは、ユーザー評価システムを通じて、評価の高いナレーターと著者、オーディオ出版社の出会いの機会を提供するとともに、高いロイヤルティや販促協力へのボーナスなどで供給を確保することに成功した(ACXの仕組みについてはこちらを参照)。

この市場が発展するには、音声製作の際の敷居を低くし、タイトルの供給を増やすだけではなく、消費者がアクセスしやすいものとするために、評価プラットフォームは欠かせない。Audible.comはアマゾンとiTunesの二大マーケットを押さえており、市場が必要とするインフラを最も提供しやすいポジションをとっている。

日本では、書店向け商品として適さなかったことからあまり顧みられることがないが、デジタルファーストで考えれば、以下のように非常に大きな可能性を持っている。

  1. ラジオのドラマや朗読がかつて人々の生活の中に大きな位置を占めていたこと、
  2. 限られた生活時間の中で読書を増やす有力な手段であること、
  3. 視覚障碍者のアクセシビリティを拡大すること、
  4. 読書、語学教育の手段となること、そして、
  5. 著者、俳優、声優、DJなどに安定した収入源を提供する、

デジタル時代に開花するものと期待されてきたが、符号化のフォーマット問題やデバイスプラットフォーム、オンラインストア、著作権、といったデジタルコンテンツに付きものの課題を一つ一つ解決しなければならないことから、E-Bookと同じく、市場が離陸するにはアマゾンによる総合的なソリューションの提供を待つ必要があった。Audible.comは1997年にドン・カーツによって創業されたが、アマゾンが2008年1月に3億ドルで買収し、Kindleのエコシステムに加わったことで飛躍の機会を得た。ACXの設立には、ランダムハウス、ハーパーコリンズ、ジョン・ワイリーなどの大手出版社が協力し、著作権者の代表も参画している。 (鎌田、01/31/2013)

参考情報

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