eBookPlus.comがE-Book広告ビジネスに挑戦 (♥)

シリコンバレーのスタートアップ企業 eBookPlus.com は2月13日、業界初となるE-Book広告プラットフォームを立ち上げることを明らかにした(→リリースPDF)。詳細はまだ明らかにされていない。E-Bookビジネスへの広告モデルの導入は、かねて議論されており、アマゾンはKindleデバイスに広告を付ける方法を米国で実施しているが、E-Bookに広告直接を付けるというモデルは初めてで、この実験の結果はかなり大きな注目を集めることになりそうだ。[全文=会員]

「無償コンテンツには1ドルコンテンツの100倍のアクセス」

eBookPlusのリリースによれば、DRM付、転売・交換・貸出不可の有償コンテンツを購入する人がいる一方で、それを嫌ってファイル共有サイトから海賊版を入手して読む人も多数存在する。後者に対して広告付の合法的な無償コンテンツを提供することで、著者、出版社、広告主にとってのビジネスチャンスになる、と開発意図が述べられている。想定はかなり大ざっぱなものだが、無償E-Bookへのアクセスは、99セントのE-Bookより100倍多い。99セントのE-Bookが100部売れた時の著者の収入は30ドルだが、平均10章を分割して各3セントを広告で得ることができれば、販売と同じく1部で30セントの売上となり、引き合うという。

広告はビデオやHTMLのパブリシティ・ページとして、読書を妨げないよう、各章の冒頭に挿入される。表示は数秒間だけで、読者が見ることを選択した場合にのみ、広告主のアカウントから著者/出版者のアカウントに支払いが行われる(クリック・ベースではなく、視聴ベース)。

“コロンブスの卵”となるか

ネット広告の課題は、メッセージ/コンテクストの発見であり、機能するには、広告主(商品/サービス)と消費者をつなぐ上でのコンテンツの役割が問題となる。これまで、メディアとしての一定のコンセプトを持ち、様々な記事で構成される雑誌はマス広告の媒体として効果的だったが、ネット時代に入って衰退を余儀なくされている。逆に変幻自在なE-Bookは潜在的には大きな可能性を持っている。それでもまだ手を出す企業がなかったのは、ビジネスモデルを成立させる上での「ミッシング・リンク」が一つや二つではなさそうだからだ。eBookPlusが“コロンブスの卵”となるかどうか。

ポイントは以下の3点。

  • 広告主がアクセスしたい読者(消費者)にアクセス出来るかどうか
  • 読者がアクセスしたコンテンツで、広告まで読んでくれる条件は
  • アクセス量と広告売上の間に、一定の比例関係が成り立つかどうか

広告主にとってはリスクフリーに近いが、著者/出版者にとっては、アクセスしてくれた読者が、広告まで読んでくれなければ収入は発生しないので、その分が(タダで読まれる)リスクとなる。大手出版社の売れ筋本には適用されないだろう。平均的にアクセス数が少ない自主出版の場合は、少しでも多くの人に読んでもらってレビューされないことには将来の芽もないので、無料サンプルを出す気があるのならば、広告付を選択するほうがベターだ。

ビジネスの詳細は明らかではないが、もし広告モデルが機能するとなれば、Googleやアマゾンが黙っていないだろう。コンテクストを探知するビッグデータの解析エンジンを有する両社は、E-Bookの広告モデルを成功させる最短距離にいるのだから。一つの可能性だが、eBookPlusはビジネスモデルを実験・開拓するためのベンチャーで、大手企業に高値で売却することを考えているのかも知れない。(鎌田、02/14/2013)

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