「DRMを使って独占」と書店がアマゾンを提訴

2月15日、米国の3つの書店が、DRMを使って市場の独占を図っている(シャーマン反トラスト法違反)としてアマゾンと出版大手6社を被告とする集合訴訟をニューヨーク南地区連邦地裁に提出したことが報じられた(02/25, Huffington Post)。ユーザーの権利を制限するDRMがアマゾンに有利に働いていることはよく言われることだが、これは出版社の要求によって一般的に使用されており、かなり無理なように思える。しかしそうであっても「瓢箪から駒」のように、審理の中で重要な何かが出てくる可能性は否定できない。」

原告はマンハッタンのポストマン書店など3者で、在来型書店を代表しての訴訟であることを意図している。反独禁法関連の集団訴訟では、アップルと大手5社に対するものが昨年、原告勝訴で決着したばかりだが、今度はアマゾン+6社という組合せ。まず独占の事実に関し、訴状は一般に信じられている市場シェアの数字として、アマゾン60%以上、B&Nが25%、アップルが10%以下としている。DRMは事実上すべてのオンラインストアが使っているが、「独占状態にある」アマゾンだけが対象となっている。原告3社は米国書店協会(ABA)のプログラムを通じてKoboのコンテンツを販売しているが、もちろんKoboも対象外。

DRMに関していえば、アマゾンはAZWという独自の形式を使い、アップルも独自。B&NやKoboはアドビのDRMを使っている。訴状は、AZW DRMがKindleデバイスとリーダ・アプリでしか読むことが出来ないために、消費者は選択の余地を奪われている、となっている。また、出版6社が被告となっているが、小規模な出版社も同じ契約をしており、別に6社が特別というわけではない。訴状でも版元にはほとんど言及されていない。

この訴訟は最初から欠陥を持っており、「価格談合」を問題にしたものと比べれば勝訴の確率は限りなく低い。にもかかわらず、米国でこうした集団訴訟が珍しくないのは、法廷での対論を通じて事実を共有し、社会としての判断を導くということの価値が認められているからだ。どこまで審理が尽くされるかは法廷の判断によるが、今回のケースでは、(1)DRMとその利用の正当性、(2)アマゾンによる独占の実態が問われ、アマゾンの社内資料なども法廷に出される可能性がある。これは推測だが、原告と原告側弁護士は、この訴訟を一つのステップとして考えているのではないだろうか。 (02/27/2013)

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