潜在的市場性を示したMMD研「電子書籍利用実態」

モバイル・マーケティングのためのデータを提供するMMD研究所は2月12日、1月30日からの3日間に実施した「電子書籍に関する利用実態調査」の結果(前半)を発表した。ここでは電子書籍利用者を中心にジャンル、満足度などを調べているが、利用経験は56.8%、1ヵ月に1冊以上電子書籍を購読している人は43.2%、電書を読むようになってから「読書機会」が増えた人が35.4%という、購入はまだ少ないもののかなり前向きな結果が出た。価格と選択肢でユーザーの期待に応えれば、潜在的な市場は相当に大きい。

価格と選択肢が最大のネック

調査は1月30日~2月1日にかけて20歳~49歳の男女673人を対象に、インターネットを使って行われた。男女比はほぼ半数で、年齢は20歳代から40歳代まで3分の1づつ3階層。全国を8地域に分けているが、これは人口比に近い。E-Bookの利用者はインターネット利用者に限定されるので、数が少ない(N=564)ことを除けば、サンプルとしてはまず妥当なもの。利用状況について、無料(34.6%)、有料(6.2%)、両方(16.0%)を合わせて56.8%が利用経験あり、と回答している。22.2%が購入経験を持っているわけで、悪くない数字だ。

経験者(N=320)に「頻度」を聞いたところ、「試しに読んでみた程度」が最も多く39.1%、次いで1ヵ月に「1冊~2冊」が25.6%となり、1ヵ月に1冊以上という回答は43.2%となった。「試しに」を除く経験者(N=195)にジャンルを聞いたところ、「コミック」が33.3%、「小説・文芸書」が32.8%、「ビジネス書」11.3%という結果が得られた。男女別では、女性はビジネス書の購読率が低く、コミック、小説・文芸書がやや高い傾向にある。電子読書体験については、「満足」が8.7%、「やや満足」が42.1%と合わせて50.8%の電子書籍利用者が満足していると回答した。常識的には利便性/価格ということだろう。

電子書籍利用後の変化について、「読書の機会」「紙の書籍の購入量」「書店に行く機会」を<増えた>から<減った>までの5段階で聞いたところ、「読書の機会」については増えた(12.3%)、やや増えた(23.1%)を合わせて、35.4%が増えたと回答。一方、「紙の書籍の購入量は、やや減った(21.5%)、減った(7.7%)を足して29.2%が購入量が減ったと回答し、増えた(計10.7%)を上回り、書店に行く機会に関しても26.1%が減ったと回答し、「増えた」15.4%を上回っている。購入予算は限られているから、紙が減るのは当然なはずだが、6割余りが変化なしで、1割が増えている、という点にむしろ注目すべきだろう。いずれにせよ、出版活動としてはデジタルによって読書機会が増えるということだ。

利用する上で望むこととしては、価格引下げ(74.9%)が最も多く、タイトルのラインアップの充実(62.1%)が、試読機会の増加(41.5%)が続いている。主な読書端末では、スマートフォンが最も多く、35.9%、タブレットが14.9%で、専用E-Readerは11.3%と少ない。デスクトップとノートを合わせたPCが31.3%と、専用機が少ないのが日本的特徴となっている。価格と選択肢というユーザーの期待に応えていないことが専用端末の価値を低くし、市場の拡大を阻んでいることを示している。

なお2月14日リリース予定の「電子書籍に関する利用実態調査②」では、電子書籍非利用者並びに試しに読んだ程度の利用者を対象に、利用意向、理由、利用したい端末について聞いている。次回に取り上げてみたい。(鎌田、02/14/2013)

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