デジタル中古市場の足音と先行するReDigi(♥)

アマゾンが「使用済みE-Book」あるいは「デジタル古書」の市場化プラットフォーム技術に関して米国の特許を取得したことは、出版界を震撼する出来事だった。Kindle古書が時間の問題となった可能性が出てきたためだ。しかし、音楽コンテンツの中古ビジネスを始めたReDigiのプラットフォームは、自社エコシステムを超えた新しい市場プラットフォームの可能性を示している。法廷での決着は早そうで、第2ラウンドのデジタル出版市場は、また新しい展開を見せる可能性が強い。[全文=会員向け]

個体識別・認証技術がデジタル再販を保証!?

ボストンを本拠に、米国と欧州への展開を計画するReDigi(→Wiki)は2011年末にストアのベータ・サービスをオープンした。翌12年1月にキャピトル・レコードが著作権侵害でニューヨーク南地区連邦地裁に提訴。しかし、下院インターネット・コーカスの諮問委員も務める有力者であるジョン・オッセンマッハーCEOは勝訴を確信して強気に進めている。ReDigiのサービスが独自の「認証エンジン」を使い、複製物を生ずることなく、元の買い手から次の買い手にコンテンツを移転(したことを保証)するタイプであるためだ。販売されたコンテンツの個体識別はウィルス・チェッカーなどの技術を使っている精巧なもので、法廷には実験で証明すれば十分と考えている。

これまでデジタルコンテンツは「複製が容易で海賊版の追跡は不可能」という前提に立っていた。旧コンテンツ業界の「著作権保護強化」キャンペーンは、これまでのところ「買ったものがなぜ自分の自由にならないのか」という消費者の疑問や不満を封じてきたのだが、とくに欧州で潮目は変わりつつあり、上述した前提が否定されれば確実に先進国全体に広がるだろう。そうなれば日本も蚊帳の外にはいられない。消費者主権の潮流からみて、おそらく問題は、すでに合法化の時期と方法、それがコンテンツビジネスにもたらす影響の3点になるのではないか。

アマゾンが取得した特許技術はもっと単純に「複製/消去」のメカニズムに依存している(同時にキャピトル側が違法としているのもこれ)。ReDigiがユニークなのは、その技術にとどまらず、再販売の際に著作権者に一定のロイヤルティを支払うとしていることだ。さらに現在はiTunesのアフィリエイトとして活動しているが、プラットフォームを拡大し、KindleやNook、Koboもサポートするコンテンツ中古市場のプラットフォームを構想している。アマゾン・タイプの中古市場はKindleの優位を強めるだけだが、ReDigiは本当の意味で新しいプラットフォームに育つ可能性がある。

2012年7月、ルクセンブルクの欧州裁判所はソフトウェアのライセンスも再販売できるという画期的判断を下した(オラクル社のケース)。ドイツの消費者団体連合会 (VZVB)はこの1月、ゲーム配信会社のValveをベルリンの裁判所に提訴したケースは、まだ結審には至っていないが、コンテンツの再販売権が大きな社会的争点となり、認められる方向に勢いがついていることを示している。 (鎌田、02/21/2013)

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