急成長が続くタブレット市場の裏側

IDCは1月31日、昨年第4四半期(4Q12)のタブレット世界出荷データの予報版を発表し、前年同期比で75.3%増の5,250万台、前期と比べても74.3%増となったことを明らかにした。平均小売価格の低下と様々な新製品の登場、年末の消費増などが寄与したものとされる。アップルiPadは48.1%増の2,290万台となったが、シェアは2期連続でダウンし、43.6%となった。サムスンが263%と爆発的な成長で2位につけ、15.1%を確保した。しかし、2011年にNook ColorをヒットさせたB&Nは大きく落ち込んで危険水域に。

アップルは2,300万台、アマゾンは600万台、Nookは赤信号

アップルの成長は、iPad miniとiPad 4の貢献が大きいが、価格とサイズの異なるiPad miniのシェアが相対的に大きくなることは、そのまま利益率の低下を意味するだけに、必ずしも歓迎されないだろう。しかし、アプリで稼ぐためにはシェア低下を防がねばならず、廉価品を売るしかない。とくに40%を切ることになると、スマートフォンに続いて黄信号が点灯することになる。廉価品を売れば従来のブランド・イメージが損なわれるので別のフォーマットにしたのだろうが、iPhone 5と同様、ユーザー体験の一貫性は損なわれた。アプリ市場においてプラスになるかどうか疑問が残る。

ビジネスモデルが違うアマゾンとB&Nは、アップルやサムスンとはそのまま比較できない。アマゾンは4Qに600万台を販売してシェアを11.5%と3Qから3.2%ポイント・アップした。Kindle Fireは「打ち出の小槌」であることが実証されており、着実にアプリ市場での地位を高めている。アマゾンのタブレット・ビジネスは販売推計よりもモバイルアプリ解析に注目したほうが実態がよく分かる(前号記事参照)。

Nexus 7で急伸したAsusだが、シェアは7.8%から5.8%と落とした。他方、マイクロソフトのWindows RT+Surfaceタブレットは4Qで90万台を販売したが、成功を確信させるものとはならなかった。やはり、マイクロソフトがこの分野で成功するには、エンタープライズ系のサービス/アプリケーションと組合せないと困難なように思われる。タブレットの構想はゲイツ時代からのものだが、それが離陸しなかったのはエコシステムを含めたビジネスモデルが描けなかったからだ。もちろん、成功した過去のビジネスモデルとの整合性を考慮したためである。

ここでB&Nに注目してみたい。B&Nは100万台あまりでシェアを1.9%としたが、通年では-27.7%も落としており、かなり苦しい。2011年にNook Colorを140万台販売し、Android系ではトップとなって大いに期待を抱かせたのだが、2012年は28%ダウンの100万台となった。第2世代機はデバイスとしての評価が高かっただけに、75%も拡大した市場の中にあって、ほとんど消えかかった状態だ。マイクロソフトとの提携によるNook事業分離の成否を問うのは時期尚早としても、ここまでパフォーマンスが落ち込んだのは、新会社のオペレーションが確立していないという以外に考えられない。肝心な時に現場のモチベーションが低下し、連携がうまくいかないというのは明らかに経営の失敗だ。最近ではプレスリリースに誤字さえ散見されるようになっており、何かが壊れていることは確かだろう。 (鎌田、02/07/2013)

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