専用E-Readerの普及率はなお上昇

Pew_Internet昨年末に出されたiSuppliやIDCのデバイス市場予測でE-Readerの死が予言されたことは本誌でも紹介したが、ニューヨークのメディア・シンクタンク、ピュー・センター (Pew Research Center)が行った米国人のモバイル購買行動に関する1月の月次調査で、年末のホリデーシーズンを挟んで、専用リーダの保有率はなお上昇していたことが明らかになった。タブレットの普及率の伸びが遅いわけとコンテンツ市場におけるE-Readerのユニークな役割はかなり鮮明になってきた。

過ぎたるは及ばざるが如し

タブレットの保有は昨年11月の25%から6ポイント増加して31%。11年8月-12年1月に10%から19%に増加したのに比べると成長は鈍化している。E-Readerの保有率は同じく11月の19%から7ポイント増加して26%。なお普及率は上がると考えるべきだろう。2011年と比べて、2012年の米国市場の販売は停滞したとしても落ち込んだという兆候はない。ドイツで100万台あまりが販売されたことなど、非英語圏を合わせてみれば、E-Readerの出荷台数もまだ伸びしろがある。1月の上旬、E-Inkのスコット・リューCEOは「北米市場はゆるやかな成長、日本、ヨーロッパ、ブラジル、新興国市場はブームを迎える」と語り、2013年の市場を楽観的に見ていた (DigiTimes, 1/9)。

Gadgets-over-time-500x387コンテンツビジネスの関係者は、普及率と出荷台数の関係に注目すべきだろう。タブレットでは出荷に比べて普及テンポは意外に緩い。これはタブレットがかなり典型的なガジェットであり、買替え、複数台保有の多い商品であるためだ。それに対して、特定のストアと連動する単機能のニッチ商品であるE-Readerはそうした要素がはるかに少ない。そうしてみるとタブレットの販売がコンテンツ市場と直結せず、E-Readerからの売上が大きい理由も納得できる。2013年初頭の段階で、タブレットとE-Readerの普及率はわずか5ポイントしかないが、後者の製品寿命が長く市場に残るために、普及率の差は拡大してさえいないのだ。E-Readerはかなり特殊な商品である。

タブレットとE-Readerの差は電池寿命だけである、という人がいる。しかしこれも違っていると思う。E-Readerの最大の機能は、やはり本しか読めないこと、つまり(本を選び、購入し、読むという)限定性にある。なぜそうかというと、読書体験はシンプルでイマーシヴなほどよいからだ。タブレットが絶対に追いつかないところだ。◆ (鎌田、03/12/2013)

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