Flipboard 2.0が拓く「メタマガジン」サービス

Flipboardアグリゲーション・サービスのFlipboardは3月26日、読者がこれまでに保存した記事とFlipboardのお薦め記事をもとに、カスタマイズされたデジタルマガジンを生成する Flipboard 2.0を発表した(→ブログ)。コンテンツはテキストだけでなく、写真やオーディオ、ビデオを含み、すべて完成されたレイアウトで提供されるという。ユーザーはこうしてつくった私家版の「雑誌」を他人と共有することができる。Flipboardはユーザーが訪問したWebページを保存できるブックマークレットを提供しており、さらにコンテンツを豊富化することができる。

ユーザーはキュレーターとなりFlipboardはメディア・プラットフォームに

Web上の情報の爆発は止まらず、検索でもフォローしきれない。アグリゲーターの登場となるが、これは必然的に「メディアのメディア=メタメディア」としての性格を帯びてくる。大小のメディアの代わりに、それらが提供する無数のコンテンツへのインタフェースを提供するからだ。Flipboardは「電子雑誌」の体裁をもって登場し、カスタム化(パーソナル・キュレーションと称する)機能によって「メディア」への入り口に立った。広告を中心とするビジネスモデルが次に用意されていることは間違いない。ユーザーのコンテクストを商品化するサービスを構築したからだ。

これまでFlipboardはテクノロジーやスポーツといったテーマについて、人間の編集者とアルゴリズム(共有頻度その他)がトピックを選択するようになっていた。2.0はユーザー自身が「編集者」としてこれに参加する形をとる。ブログ記事やビデオなどに出る「+」をクリックして雑誌に「フリップ」すれば、参加することになるわけだ。ユーザー生成の「メタマガジン」は、1,000万人単位のユーザー数を背景にすることで巨大なメディアになる。過去の人気記事を集めてアンソロジーを構成することも容易だ。言うまでもなく、雑誌出版社にとっては脅威だ。Flipboardはこれを意識して、出版社も積極的に参加させようとしており、コマース機能を埋め込んで提供することも計画している。

情報のフィルタリングから新世代メディアに成長

“ニュース・アグリゲーション”というと耳慣れないサービスかも知れないが、歴史は相当に古く、オンラインのテキスト・データベースの時代から、情報分析専門家や記者などのためのサービスとして存在した。筆者もかなり高価だった1980年代に使っていたことがあるが、関心分野やキーワードなどを登録してプロファイルをつくり、それに基づいてカスタム化された記事のリストを提供してくれるので、それなりの付加価値があった。

Flipboard2インターネットとWebで情報源やアクセス方法、テンプレートが豊富かつ安価に利用できるようになったことで一般向けのサービスが可能となったが、簡単にはビジネスにならなかった。他人のコンテンツを拝借する以上、“購読”とするわけにもいかず、広告と結びつけるビジネスモデルも見つからなかったからだ。ソフトを有償化すればユーザーは限られるので、とてもメディアにはならず、無償でメディア化するには膨大な投資が必要だ。Googleのような大企業でないと不可能なように思われたのだが、3年ほど前から環境が変わった。モバイルとクラウドがベンチャー企業の手の届くところにきたためである。Paper.li や Flipboard、Zeit などは新世代のサービスであり、とくに5,000万人以上のユーザーを獲得したFlipboardは、メディアビジネスとしての入り口に立ったと言える。

次の問題は、既存メディアとどう共存するか、既存メディア(とくに雑誌と新聞)はどう対応するかということであろう。目玉記事をペイウォールの後ろに隠すか、それともFlipboardとともに広告モデルと売上シェアの可能性を探るか。引続きフォローしていきたい。  (鎌田、03/28/2013)

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