EPUB3オープンソース開発加速へReadiumを独立

readiumEPUB3をサポートするオープンソース・イニシアティブ Readium.org を推進してきたIDPFは3月25日、独立した会員団体 Readium Foundation として再発足させると発表した(→リリース)。今週金曜(29日)から開催されるパリのブックフェアで正式発足する。Readiumは、今後タブレットなど各種デバイスのネイティブ・アプリに最適化したEPUB3レンダリング・エンジンを開発するための開発キット(SDK)プロジェクトを推進する。拡張E-Bookを標準ベースで開発する体制が大きく進展し、出版社の負担は軽くなる。

マルチメディア/マルチランゲージ・コンテンツの本格普及へ機動力強化

Readium (Readium Open Source Initiative)は昨年2月、EPUB3標準によるマルチメディア/多言語コンテンツをブラウザで実装可能とするためのオープンソース・プロジェクトとして発足し、Chrome OS拡張実装をリリースした。Readium SDKプロジェクトは、この成果をもとに、モバイルデバイスにターゲットを拡張するもの。新たに非営利法人として設立されるReadium Foundationは、IDPFからも独立した事業体として標準化を補完することになる。標準仕様の策定・維持・拡張および普及を行うIDPFは、300社を超えるかなり大きな所帯になった。開発プロジェクトを運営するには不向きなので、Readiumを独立させたものとみられる。

マルチメディア・コンテンツはテキスト+図版とは比較にならないほど複雑で、デバイス間の微妙な差異によって影響を受けやすい。オープンソースの参照実装、標準的なSDKの開発・共有はEPUB3の普及に最も有効な手段といえよう。しかし、様々なベンダー/ユーザー企業の技術戦略との調整が必要となるので、様々な立場の技術者による緊密・迅速なコミュニケーションが要求される。あえて別組織としたのはそのためだ。

Readium2会員については、ACCESS、Aldiko、Bluefire Productions、Baker & Taylor、Benetech、Bokbasen、DAISY Consortium、Datalogics、De Marque、DILICOM, eBook.de、Eden Livre (仏の3出版社の合弁)、Editis、Evident Point、Feedbooks、Firebrand Technologies、Hachette Libre、IDPF、Izneo、Kobo、LIA (イタリア出版社協会)、Mantano、Numilog, 楽天、Sony Corp.の名前が挙がっている。日本からは、ACCESSと楽天、ソニーの3社。フランスとイタリアから出版社のグループが参加しているのが目を引く。

リリースでは、参加各社のコメントが紹介されているが、日本のACCESS、ソニーがそれぞれ、EPUB3エコシステムの拡大への貢献を強調。米国の大手メディア・コンテンツ流通企業であるベイカー&テイラー社のマット・キャロルEVP兼CIOは、EPUB3+HTML5の普及を促進するオープンソース・ソリューションを提供することで「出版社、サプライヤ、リテイラー、図書館などのために障害を取り除き、市場化のスピードを加速する」と述べている。 (鎌田、03/26/2013)

IDPF/Readiumの歩み

2012年2月13日  Readium Open Source Initiative 発足
2012年2月13日  Google Chrome拡張
2012年3月15日  出版大手アシェット・グループ参加
2012年3月21日  Readium 0.19 で MathMLをサポート
2012年3月30日  Readium 0.21 で 固定レイアウト・メタデータをサポート
2012年7月 3日   Mac OS X 向けReadium Custom Chromiumバイナリをリリース
2012年9月26日  Mac OS X 向けReadium Custom Chromiumバイナリ・リリース2
2012年9月26日  Readium WebのChrome拡張をChrome Storeで提供
2012年12月18日  Mac OS X 向けReadium Custom Chromiumバイナリ・リリース3
2013年3月24日  Readium Chrome Web更新、ユーザー数4万人

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