米国のベストセラーE-Book平均価格はなお下落傾向

price3米国のE-Bookベストセラー(上位25)の価格動向を毎週フォローしているDigital Book Worldによれば、先週(2/25-3/3) 1週間に平均価格帯が8ドルをさらに割りこみ、$7.86となった (03/05記事)。$2.99でヒットしたアシェットのBeautiful Creatures シリーズを追うように$2.99以下のタイトルが目立ち、平均価格を押し下げている。ビッグシックスのランダムハウス、ペンギン、ハーパーコリンズ、アシェットの4社はこのレベルのベストセラーを出している。固定価格を離脱してそう間もないが、大手出版社も様々な“価格実験”を通じて最適スキームを探っている。

タイトル別に最適価格帯を模索する大手出版社

目立つのは既刊本デジタル版の廉価販売で、デビー・マッコマーの1984年の小説 Heartsong (Random House, $2.99) が10位に入り、サンドラ・ブラウンが1990年に書いた Mirror Image (Hachette, $1.99)が12位。ビッグシックスは既刊本の廉価再発のほか、さらに最近のものまで選択的に廉価で出して反応を確認しているようだ。エリザベス・ヘインズの Into the Darkest Corner は昨年6月に出たものが$1.99となって5位に、1月に出たばかりのキャシー・マリー・ブキャナンの The Painted Girls (Penguin, $14.99)も Kindle Daily Dealの特価販売($2.99)で4位に入っている。

DBWのべスト25で、自主出版ものは3位に入ったエリザベス・ノートンの Wait For Meのみ。2.99ドル以下の廉価本はこれを含めて7点。10ドル以上は6点、8~9.99は7点、3~7.99は5点とかなり分散している。大手各社の戦略を読むにはまだ材料が足らないが、とりあえずは以下のようなことが言えそうだ。

  • 価格は出版社が積極的にテストしているものとみられる
  • 著者・ジャンル・発売時期、販売動向などの要素を勘案して値決めをしている
  • 既刊本の廉価販売が成功すればルーチン化するものと見られる
  • 印刷版との関係は機械的ないし一様ではなく、個別に決められている。

revenue_curve日本でも出版社によるE-Book価格の柔軟化が期待されている。左の図はE-Bookにおける最適価格の想定。目盛はともかく、価格と売上の関係としてはこのような関係が成り立つと考えられている。しかし出版社が理論上の最適価格をなかなか適用しないのは、最適価格がタイトル毎に異なることのほかに、印刷本の販売への悪影響を怖れるのと、「価格が安い=内容も薄い」と、出版人ほど信じているからだ。 (03/06/2013)

 

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