ランダムハウスがデジ・ブランドの契約条件を改訂

Hydra3月12日付の記事でランダムハウスのデジタル出版ブランドの契約条件をSF作家団体 (SFWA)が批判した事件をご紹介したが、日本時間で13日、ランダムハウスは提示していた条件を大きく改訂し、さらに作家が従来型モデルをオプションとして選択できるようにした(→リリース)。これによって「作家からの搾取」「虚栄出版」という非難を回避することを意図したものだが、おそらくは最もやりたくなかったことだ。作家がどう反応するかは現時点で不明だが、巨大出版社を動かしたSFWAの力は相当なものがある。(図はHydraを退治するヘラクレス)。

対象はHydra (SF)、Alibi (ミステリ)、Loveswept (ロマンス)、Flirt (クロスオーバー)の4つのデジタル・ファースト・ブランド。The Digital Readerのネイト・ホフェルダー氏によれば、「まともなエージェントが獲得できるものほど良くはなく、自主出版者が得られるほどのレートではないが、少なくともランダムハウスが作家を苛酷に搾取するというにはあたらない」ものだという。選択は「利益シェア」モデルと「在来」モデル。

新たに加わった「在来」モデルは、作家は販売手数料を引いた売上額の25%(米国の標準的な版権料率)を受け取る。経費の分担はなく、前渡金もある(算定ベースなど詳細は不明)。最初からこれが入っていたら非難されることもなかったろう。

利益シェアは、基本的に経費を控除した「利益分」を折半するというもの。これは簡単で分かりやすそうだが、細部の仕掛けによっては「出版社がリスクと経費負担を減らし、作家が搾取される」ものともなる。各種の自主出版サービスの中でも「自費出版=虚栄出版」的な色彩が強い、ペンギン傘下に入った大手のプラットフォーム企業 Author Solutions (AS)のモデルに近いが、ホフェルダー氏によれば、サイモン&シュスター、Lulu、ハーレクイン、ペンギン、ピアソンなどはここと提携している。

RHの「利益シェア」モデルでは、(1) E-Bookについては製作費は出版社側が負担、(2) 印刷版は実費控除、(3) 1万ドルまでのマーケティング費用はRHが負担。それ以上は別途、となっている。一次および二次著作権(上演権、ゲーム化権を除く)は(存続期間中)出版社に属する。ただし年間300部以下しか売れなかった場合は「復帰条項=reversion clause)で著者が取り戻すことが出来る。(2)は「電子版」の制作コストが僅かであることを前提としている。新たな動きがあればまたお伝えする。 (鎌田、03/14/2013)

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