成熟し多様化する米国のデジタル・リーディング

simba_logo米国の出版/メディア・ビジネス専門の調査会社 Simba Information は4月11日、2009年以来5年目となる調査レポート 'Trade E-Book Publishing 2013' を発表した(→リリース)。業界ではなく、消費者にフォーカスした調査により、徐々に減速しながら成熟期に向かっていると考えられている市場が、かなり複雑な様相を呈していることが明らかになっている。推定5,000万人の大人がE-Bookを利用しているが購入金額はそれに比例していないということだ。

米国人の5,000万人にまで広がったが、市場はより複雑・微妙に

この調査は、一般の商業出版市場(つまり学術・教育系を除く)におけるE-Bookの購入・利用動向を追跡調査しているもので、データは2012年に得られたものが用いられている。シンバ社のマイケル・ノリス上級研究員は今年版の特徴を「ユーザーとバイヤーのギャップの拡大」という言葉で要約した。デジタル読書人口が順調に増加し、5,000万人を超えるまでに達したのに対し、平均支出金額は伸びなかった。2012年の市場の減速(100%台から+40%へ)は、これが原因だという。ペーパーバック購入者は予想に反してかなり伸びたが、これが超ベストセラーによる一時的要因によるものかは不明だとしている。

EscherE-Bookを利用可能なデバイスを持っていても必ずしも使わないのは驚くにあたらないが、スマートフォン・ユーザーは63%、iPadユーザーは48%、その他タブレット・ユーザーの40%がE-Bookには利用していない、というのはかなり高率だろう。「出版社はいまだに、消費者がコンテンツにアクセスできるようにしただけで十分だと信じているようだが、これはまったくの勘違いだ」とノリス氏は言述べ「E-Book出版の世界はふつう考えられている以上に複雑微妙なもので、コンテンツを読む気にさせるのは簡単ではない」としている。

E-Bookあるいはデジタル・リーディングは着実に「普及」し、拡大しているが、デバイスも安価になったことで、もっぱら無料コンテンツばかり読む「ユーザー」や、たまにしか買わない「バイヤー」などが多数を占めるようになった。専用E-Readerを持ち、毎週、毎月買ってくれる「バイヤー」が中心だった時代(“Kindle紀元”4年目の2011年まで)が終わり、E-Book市場はより複雑なものとなったということで、これはBISGのレポートの観察と一致する。日本の問題は、コア・リーダーが紙から動かず(コンテンツが少なく、高いのだから当然だ)、それ以外の層はそもそも読書に動機(に働きかけるマーケティング)を必要としていることだ。いずれも出版側から動かないと状況は容易に変わらない。

シンバ社のレポートは、デバイスの利用傾向、支出金額、無料コンテンツの利用、E-Bookの価格動向、消費者の属性別分析など65点の図表が含まれている(目次はこちら)。価格は3,250ドル。  (鎌田、04/23/2013)

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