読む本によってデバイスの選好は変わる

bisg_consumercover_2013_small米国の出版シンクタンクBook Industry Study Group (BISG)は4月5日、デジタル読書の動向に関する最新の「消費者態度」調査の結果を発表し、いくつかの興味深い傾向を示した(調査=バウカー社)。初めてタブレットが専用リーダをリードし(44-42)、さらに差を広げるのではないかと予測されている。それ以上に注目されるのは、デバイスと出版ジャンルの関係。いくつかのフィクションでは引き続き専用リーダが優位を占めたのに対して、ノンフィクションではタブレットが優勢という具合。

初めてタブレットがトップに

BISG「タブレットで読む」は2012年8月の37%から7ポイント上がって44%。逆に「E-Readerで読む」は49%から7ポイント落として42%となった。デバイスの購入意向では、専用リーダが落としたのに対して、タブレットは37%と変わらなかった。では、この数字は何を示すのだろうか。専用リーダがあまり重要でなくなったということか、将来的には消えるということか。実際には、タブレットが幅広い消費者に普及することで、デジタル読書(あるいは読書そのもの)がより身近になっただけなのか。

本誌ではかねてより、デバイスとデジタル読書が一般に普及するにつれて、市場はより構造化されるので、調査は「全体平均」よりも人と本の属性別の傾向を示すものでなければならないと主張してきた。例えば、購入点数や購入金額、読書傾向、生活スタイルといったことが、出版マーケティングでは大きな意味をもっている。専用リーダより普及台数が圧倒的に多いタブレットが「平均で」リードするのは当然であり、それは日本でPCやガラケーが上位に来るようなものだ。出版者が知りたいのは、出版したいコンテンツに対応する読者が保有し、選ぶデバイスである。年に数点しか買わない消費者と毎週買っている消費者は別の市場に属する。

デジタル読書市場は成熟し、構造化している

gobook-Imagine今回の調査ではデバイスとジャンルの相関が明らかになったという(詳細を知るにはかなり高価なレポートを購読する必要がある)。BISGのリリースによれば、専用リーダを主に使う読者が好むのは、ミステリ、文芸、ロマンス。他方でハウツー・ガイドやマニュアルはPCが多く使われている。これは画面サイズというファクターが大きいと思われる。旅行ガイドではタブレットや専用リーダを押さえてスマートフォンが上位にあるのも理解できる。

紙からデジタルへという流れは引き続いており、毎週E-Bookを購入しているパワー・バイヤーの82%が紙よりE-Bookを好むのは当然としても、非パワー・バイヤーでも70%近くがE-Bookを好んでいる。バウカー・マーケット・リサーチのジョー・ヘンリー部長は、「消費者態度調査を始めてから5年の間に、いくつかのフィクション・ジャンルでeリーディングが主流になってきた。専用機からタブレットへの移行がみられるので、調査はジャンル別、小売店別の動向や紙の本の動き、重要性を増しているパワーバイヤーの成長を注意深く追跡していく」と述べている。

なお、「E-Book読書に関する消費者態度調査」は、2009年11月から行われており、過去1年間にE-Bookや専用リーダを購入したことのある「消費者」を対象に、米国の人口構成(男女、年齢)を反映した6,000名のパネルから毎月新しいグループ(今回は1,014名)を抽出して行われている。 (鎌田、04/09/2013)

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