米国の電子公共人文図書館DPLA近日公開

DPLA「研究図書館、公文書館、博物館が保有するすべての文献をアメリカ人(さらに世界)に」アクセス可能な形で提供することを目的にしたプロジェクト Digital Public Library of America (DPLA)が、3年の準備期間を経て4月18日にスタートする。発足時のコレクションは200~300万点。EUのプロジェクト Europeanaと相互運用性を持たせている。「構想は大きく、最初は小さく」というコンセプトで着手され、当面はすでに各研究機関においてデジタル化済の書籍、草稿、資料、芸術作品などが収録される。

社会・風俗史料も一挙公開

RDarnton運営メンバーの一人であるハーバード大学図書館のロバート・ダーントン館長が New York Review of Booksで述べているところによると、米国文明を形づくっている2つの潮流 ― 18世紀啓蒙主義とプラグマティズム ― が合流して生まれた。つまり、あるべきものを実現するには、より高次の原理に基づく新しい方法で行う、ということである。人文史料をすべての人にという途方もない理想と、数百万メガバイトの情報資源を読者に提供するシステムを設計する上での現実主義を両立させることで、DPLAは実現された。ダーントン教授は、18世紀フランス史の権威であるとともに、書物史についての著書でも知られている。

文献は膨大だが、例えばハーバード図書館からは、243点の中世写本、5,741点のラテンアメリカの小冊子、3,628点の銀板写真、犯罪などを扱った502点の呼び売り本、18-9世紀の大衆小説、結婚と性に関する420件の法廷記録、といった社会史、風俗史研究に必須な貴重文献が提供されている。さらに音楽、地図、動物学、植民史などの文献が逐次追加されていくという。なおDPLAは、全米人文科学基金や米国博物館・図書館サービス機構 (IMLS)などから幅広く支援を得ている民間プロジェクトである。

DPLAは刊行された「人類の古典」のデジタル図書館を目指したProject Gutenbergを「オモテ」とするなら、社会・風俗系一次史料を含むという点で「ウラ」プロジェクトということもできる。研究者だけが接することが出来た時代文献を一般人が目にすることで、違った面白さを発見できる。中には解説付、あるいはなしでもコンテンツとした日の目を見て、脚光を浴びるものも出てくることは想像に難くない。DPLAはこのプラットフォームを使い、コンテンツを利用するためのアプリの開発を奨励しており、APIも公開している。

「古典」以外の文献の電子化と公開について、日本ではまだ大規模なプロジェクトはないが、近世から明治・大正期までの文献は、おそらくプライベートに(一部は商業ベースで)電子化されていくと思われる。  (鎌田、04/09.2013)

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