Koboの“ポルシェ”は疾走するか失速するか

Aura HDKoboは4月15日、新しいコンセプトに基づくE-Readerの新製品、Aura HDを169ドルで発売した。6.8型と大きめの画面に高解像度(1440×1080、265dpi)の前面発光型スクリーンを装備した“高級”リーダは、週に数冊を読みこなすような本の虫、あるいは読書を人生の中での大切なひと時と考える愛書家をターゲットにしたもの。マイケル・タンブリンEVPによると“E-Readerのポルシェ”となることを目指したものという。果たしてデジタル・リーディングにポルシェは必要か。

265dpiの高精細E-Inkスクリーンでパワー・ユーザーに訴求

porscheこの製品開発はKoboの顧客調査の結果から生まれたもの。それによると90%のユーザーは年末までに新製品を買いたいと考えており、「次世代のE-Inkがどんなものになるか」を見たいと期待している。36%はタブレットも保有しているが、読書デバイスとしては、これからもE-Inkが中心的な役割を果たし続けると考えている。「オーラ」はそうした期待に応えるべくデザインされた。画素密度が265dpiというのは、Kindle Paperwhiteの212ppiよりひと回り高い。4GBのメモリを装備(32GBまで拡張可)、バッテリ寿命は最大2ヵ月。130ドルのKobo Gloは引き続き主力を担うというが、同社は読書量(消費金額)の多いハイエンドのユーザーに期待している。(写真はポルシェの初代356)

北米では16日から予約販売を開始し、カナダ・英国では25日から店頭販売を開始する。日本での発売は不明。やはり英語圏を優先ということか。

Kindle_originalアマゾンは初代のKindle(写真=右)を399ドルという価格で販売したが、予定数を5時間半で売り切り、5ヵ月間在庫なしという状態を記録した。もちろん、生産台数を絞り込みすぎたためだが、高価格にもかかわらず購入したのは、ガジェット好きではなく、高年収、高学歴の読書家層だった。これはアマゾンがいきなり金鉱を掘り当てたことを意味していた。「パワー・ユーザー」とも言われるこの層は、ずば抜けて消費量が多い。以来、アマゾンはこの層をしっかりと確保しつつ、裾野を拡大して現在に至っているが、アマゾン自身はデバイスの高級化には無関心だった。9.7型のDXは教科書市場のテストに使ったものだし、Paperwhiteも安っぽくはないが、あえて「高級」というイメージを訴求しなかった。「パワー・ユーザー」はベーシックな機能がしっかりしていれば、デバイスに「高級感」など望まない、という判断だろう。

アマゾンの市場観は米国にフォーカスしている。そしてそれは「グローバル・スタンダード」となり得る。しかし、追う立場のKoboとしては同じことをやっていては勝ち目はない。それに製造コストの負担も相対的に重いので、デバイスとして付加価値の高い製品を出したい、と考えるのは自然だろう。米国ではあまり役に立つとは思えないが、ヨーロッパやアジアではかなり期待できそうだ。漢字を使う日本や中国では、265ppiは十分な価値と説得力を持つ。あとはAura HDが(アップル製品のように)本当にモノとしての「オーラ」を発するかどうかだろう。 (鎌田、04/18/2013)

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