“百円自主出版”が主流になる日

damaged-187x300米国の週間E-BookベストセラーをウォッチしているDigital Book Worldは、4月第3週のランキング第1位と第2位を、0.99ドルの自主出版作品が占めたと発表した(4/23)。自主出版タイトルが1位に入ったのは今年に入って4回目。ベストセラーの平均価格はその影響で7ドルを割り込み、前週の7.43ドルから一挙に6.93ドルに下がった(過去の最低は$7.21)。0.99ドル(百円)ベストセラーは商業出版社の恐怖と言われてきたが、どうやらノーマルな現象となりつつある。

米国E-Bookベストセラー1、2位を自主出版タイトルが独占

トップセラーの 'Damaged' を書いたH.M.ウォードはDBWに対して、4月2日に$3.99で発売されてから15万部以上を売っているが、Kindleベストセラーのランクに載ったのを知り、1位になるかどうかを知りたくて0.99ドルに引き下げたと語っている。2位レイチェル・ヴァン・ダイクンの恋愛小説 'The Bet' も10日間で8万5,000部を売っているが、ウォードの場合は過去の25作品すべてを自主出版で出しており、最近では著者エージェント (Dystel & Goderich Literary Management) を通じて海外出版権や映画化権の販売に乗り出したという。このエージェントは、今年に入って6人以上の自主出版作家を顧客にして大手出版社への売り込みに成功している。

著名なコンサルタントのマイク・シャツキン氏は最近「商業出版社時代の終焉」についてのエッセイ(Idea Logical Company, 3/19)を書いたばかりだが、今回のランキングについて以下のようにコメントしている。
「さらに新しい水準点を示したものだ。小出版者や自主出版者の商業的成功はさらに拡大するだろう。良書を見分けるゲートキーパーとしての既成出版社の役割はなお続くとしても徐々に薄れ、遅かれ早かれ、突然に無用な存在となる日を迎えるだろう。今年の年末のトップ10の自主出版タイトルの数は、3点か6点か。少なくとも2点以上であることは確かだ。」

Dyken自主出版作家はその作品の商品価値を自ら証明し、さらに大きな市場にアクセスするために商業出版社にアプローチする。期待するのはマーケティング能力だ。もちろん出版社には才能を評価し、完成度を高める手助けをする優秀な編集者がいるが、無名の作家には付き合ってはくれないから、あてにはしていない。そしてE-Bookでデビューし、数十万から100万部を売ってメージャー・デビューし、1,000万部のオーダーを目指す。出版社にとって困ることは、彼らにはやり手のエージェントがついており、実績を背景に高額の前渡金を要求することだ。もちろん海外販売権、オーディオブック化権、映画化権は別に販売する。商業出版社に未来はあるか。少なくとも小説については苦しいようだ。これは日本のマンガ出版についてもあてはまるだろう。

それにしても、米国のベストセラーは女流ロマンスが圧倒的だ。どうして日本では出ないのだろうか。これも日本の出版界が男性優位社会(米国はその逆)である結果なのか。  (鎌田、04/25/2013)

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