世界大手5社決算、デジタル化進展で利益率10%

profit_margin先日ランダムハウス社の2012年度決算を紹介したが、超ベストセラーという特殊要因の後押しがない他の(マクミランを除く)大手4社を含む数字も出揃ったので取り上げてみたい。総じて言えることは、売上が停滞し、営業利益が前年水準を割っている企業も含め、すべて9%以上の利益率を確保していることだ。各社ともコストの安いE-Bookの貢献を強調している。RHを除く各社の決算には、独禁法訴訟の関係の法務費用や和解金による損失が反映されている。

世界の商業出版ビジネスの大手6社体制(ビッグシックス=B6)は2012年で終わり、今年からはB5あるいはそれ以下という構成になるが、ここではランダムハウス(RH)、ラガルデール(HB)、ペンギン(PG)、サイモン&シュスター(SS)、ハーパーコリンズ(HC)を取り上げている(HCはニューズ社の再編に伴い半期分のみ)。もちろんRHが2012年の勝者であり、営業利益が75.7%増で売上も22.5%増。利益率は驚異的な15.2%に達した。E-Book比率は全世界で20%、米国で25%。『フィフティ・シェイズ』の電子版は1,500万、3部作のセットものが85万部。RHは 'Gone Girl' でもE-Bookのミリオンヒットを飛ばした。E-Bookが牽引した米国市場は約15億ドルを売上げ、グループの中でのシェアも1ポイント上がって54.8%となった。

他社は『フィフティ・シェイズ』の圧倒的成功によって売上に影響を受けたと主張しているが、マイナスにはならなかった。PGとSSはそれぞれ0.8%と0.4%増。HBが1.9%で、半期の数字となったHCは17.6%増だが、これは主にトーマス・ネルソン社の買収によるもの。PGのE-Book比率は、全世界で17%(前年から7ポイント増)、米国で30%(同10ポイント増)。

価格の安いE-Bookの増加は、売上ではマイナス要因だが、利益率が高いので、営業利益には大きく貢献する。各社ともリストラ費用を計上し、デジタル基盤投資を進めている過程なので、回収が早いE-Bookは経営的にもますます重要になってきている。同時にE-Bookでメガヒットがあれば、その利益は印刷本の比ではないことは、RHの大成功が示している。

marketing3したがって当面、各社とも以下のようなスタンスをとるものとみられる。

  • デジタルマーケティングを強化してメガヒットを目指す
  • 同じく、価格を最適化し、既刊本から安定的な収入を上げる
  • 成長市場(分野、地域)に柔軟にシフトする

いずれにせよ、マーケティングのパフォーマンスが鍵を握る。紙の時代と違って、コンテンツへの依存は、アマゾンへの依存を意味するからである。また拡張E-Bookの市場は、助走期間の予測がつかない。 (鎌田、04/07/2013)

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