近づくアマゾンKindleの中国フル稼働

AmazonChinaアマゾンは先週、Amazon Appstoreの中国語サイトを立上げた。昨年12月のKindleストアに続くもので、先月にはCloud Driveサービスも始めた。KindleとKindle FireデバイスをベースとしたKindleエコシステムをフルスケールで始めるまであと一歩というところだろう。アマゾンは一連のオペレーションを、むしろ目立たない形で進めており、年内に7型Kindle Fireを100ドル以下で販売して一気に浮上するものとも観測されている。しかし、すでに地元企業との前哨戦は始まっている。

Appstore正式に売ってはいないのだが、Kindleリーダは中国でも隠れた人気商品で、とくに香港経由でかなりが出回っていると伝えられる。3Gで検閲なしのインターネットを楽しむことが出来、さらにルーティングによって中国版オンラインストアの“専用デバイス”に衣替えしたりすることもある。昨年夏にはKindleの4機種が中国政府の型式認定を取得し、販売可能になっているが、まだ発売していない。12月には、中国語タイトル2.5万点ほどでKindleストアをひっそりとオープンした。そして5月3日、予告通りにAppstoreをオープンさせた。

Kindle-store-page-banner-new._V396782418_31sj-uRT2PL._AA160_中国では電子読書はかなり普及しているが、有償コンテンツの市場はまだ小さく、読者ベース、コンテンツの質量ともに乏しいと言われている。ネット・ユーザーは5億人だが、市場規模がどの程度になるかは予測がつかない。既成の出版社が海賊版を怖れてデジタルを嫌うのは米英以外どこでも同じだ。アマゾンにとってのチャレンジは非常に多いが、出版社や当局との交渉を水面下で進めつつ、静かに準備を進めている。「Kindle商店」は「測試版」となっており、iOSとAndroidデバイスで対応する。すでに普及しているデバイスを使ってコンテンツを購入/ダウンロード出来るようになっている。東野圭吾や村上春樹など日本の人気作家の作品もある。また司馬遷の史記のような古典が無料コンテンツとして提供されており、これは中国語学習者にも魅力的だろう。

中国の英語人口は実質的にインドをしのぐとも言われており、潜在的には英語コンテンツの市場も大きい。アマゾンも文芸書や実用書の中国語コンテンツだけに注目してはいないだろう。そうした意味で出版市場のグローバリゼーションのひとつの焦点だ。

アマゾンという会社は、戦略的新事業を目立たない形で、ひっそりと、徐々に立ち上げていくのを特徴としている。話題になりやすいことほど、話題にさせない。おそらく、体制構築に時間がかかる事業ほど、初期段階の“雑音”に左右されることが多いと考えるためだろう。日本や中国のような、“非市場的”性格が強い国に進出する場合にはとくにそうだ。「打倒アマゾン」を掲げる人々がいる日本や、政府が出版市場をコントロールしている中国事業は、その最たるものだ。(鎌田、05/09/2013)

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