アマゾンよりコミュニティを選ぶ小出版社

Barefoot2米国の児童書出版社ベアフット・ブックス(マサチューセッツ州ケンブリッジ)は5月21日、アマゾンとの取引を終了し、独自の経営哲学に基づく販売チャネルに集中していく方針を表明した(→リリース)。2006年には最大手書店チェーンのB&NやBordersとの取引を停止したこともある出版社だが、米国の全流通量の3分の1、E-Bookでは6割台のシェアを占めるアマゾンを失っても補って余りあるものとは何だったのだろうか。

ベアフット社はボストン近郊の創業20年あまりの小規模な会社だが「スモール・イズ・ビューティフル」をモットーとしており、そのビジネスモデルは、Studioと呼ぶ特設コーナー、Ambassadorと称するソーシャルな(ホームパーティ型販売)アフィリエイトを中心に構成される。出版する図書の内容を理解した販売者とのコミュニケーションを最重視するものだ。大手チェーンを嫌って大書店での販売を打ち切った後もアマゾンとの関係は続いていたが、価格(ディスカウント)や販売方法をめぐって不満を募らせていたことは想像に難くない。「アントレプレナーとしてのアマゾンは尊敬している」とナンシー・トラヴァーシーCEOはコメントしている。

elephant2「これまでアマゾンとのビジネスで直面した問題は、過去に大手書店チェーンとの関係で経験したことと同じものでした。とくに小出版社であれば仕入れ担当者との人間的関係はほとんどありません。私たちの本は日用品のように大幅なディスカウントの対象になり、アマゾンは私たちのところに印刷会社からの納品が届くより前に売り出すほどでした。こうしたビジネスのやり方は私たちが独立小売店とAmbassadorのコミュニティとつくりあげてきた努力を無にしかねません。」

ベアフット社は、今後ニューヨークの有名玩具店 FAO Schwarz などに設置された Studioや、Ambassadorコミュニティの拡大に注力し、また自社サイトでの直販を行う。かつて大手チェーンと絶縁した年には40%の売り上げ増加を達成したとのことなので、今回もプラス効果を期待していると見られる。 (鎌田、05/23/2013)

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