ニッチ市場に活路を求める電子ペーパーのE-Ink

spectra電子ペーパー市場の縮小に直面しているトップメーカー、台湾のE-Inkは5月21日、新世代の Spectra、Auroraの2製品を発表し、バンクーバーで開催中のSID Display Week 2013で展示した。Spectraは、黒白赤3種の顔料を使ったディスプレイでESL(電子棚札)システム用製品で、Auroraは冷凍庫や厳冬期の屋外を含む低温での使用を可能とする。直接的には特殊用途のニッチな市場をターゲットにしたようでもあるが、価格によっては一般用にも使えるかもしれない。出荷は今年後半。

e-ink_logo赤インクを加えることで、ESLのロゴ、価格表示ニーズに対応したSpectraは、ESLソリューション・プロバイダーのPricerのために開発した。しかし、学習参考書やテストペーパー、マニュアル、ビジネス/テクニカル/メディカル・ドキュメントなど、二色印刷が使われてきたコンテンツがそのまま使えるメリットもあるので、これはESL以外にも新しい用途を開拓することが期待される。編集者の立場からいうと、フルカラーが自由に使える環境にあっても、集中力を高める「二色刷」の価値は見直されるべきだと思う。

Auroraは摂氏零下25度以上で動作するタフなパネルで、非リーダ系用途(主としてESL)のために開発された。低音下で動作する無線ESLタグを開発する Opticon が主要なユーザーだが、2.7型、4.41型、および7.4型の3種類がある。今週号で紹介した Earlタブレットのようなサバイバル製品にも対応するだろう。

E-InkはCEOを交替させ、新規増資して新製品開発を活発化させている。最近ソニーが教育システム用に発表した「デジタルペーパー」の試作機には、E-Inkの13.3型パネル Mobiusが使われていた。E-Inkはもちろんカラー技術も持っているが一般商用製品にはない。白黒ブックサイズの市場が飽和点に達して以降の電子ペーパーあるいはE-Readerの市場には、(1)カラー化、(2)大型化、(3)特殊用途がある。E-Inkはフルカラーというハイリスクな分野を避けているようだ。最大顧客であったアマゾンが、サムスンから Liquavista (オランダ)を買収したことで窮地に立ったと言われるE-Inkは、当面ニッチ市場でしのごうとしているのかも知れない。 (05/23/2013)

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