米国書籍市場の44%がオンライン、31%がアマゾン

ecommerce米国バウカー・マーケットリサーチのカール・クーロ部長は5月8日、6月に発行される出版市場の年次レポートのハイライトを発表し、2012年の米国市場で、オンライン、デジタルが大幅に伸びたことを明らかにした。紙とデジタルを同時に提供するアマゾンの強味は大きく、シェア拡大が止まらない。カニバリ論に囚われ、デジタルで出遅れた書店、デジタルに集中するアップルでは相手にならない。本格的な紙+デジタルのプラットフォームの登場が待たれる。

デジタル→紙の好循環でリードを広げる

E-Bookは、全書籍への支出構成比で11%と前年の7%から4ポイント上昇。購入点数では22%(2011年は14%、2010年は2%)を占めた。しかし、フォーマット別支出シェアではペーパーバックが43% (前年比-1)、ハードカバーが37% (同-2)と引き続き優位を保っている。重要なことは、紙の販売のかなりの部分がオンライン書店によって担われていることだ。チャネル別の売上では、アマゾンに代表されるオンラインが44%と前年の39%からさらに5ポイント伸ばし、差を広げた。大型書店チェーンは26%から7ポイント落として19%だが、二桁のシェアを持つのは他にない。独立系書店は6%。

E-Bookを購入するオンライン書店で紙の本も購入する傾向は顕著になっている。アマゾンは印刷本のオンライン販売のシェアを活かしてE-Bookに進出したのだが、逆にE-Bookによって印刷本のシェアがさらに高まるという好循環を生み出し、書籍販売シェア・トップの座を盤石にしている。これこそ同社が期待していたことだ。クーロ部長によれば、米国書籍市場に占めるアマゾンのシェアは、2011年の26%から5ポイント上げて31%に達した。

Amazon_cartデバイス別では、E-InkのKindleが42%から40%にダウンしたが、Kindle Fireが補うことでファミリーとしてのシェアをさらに伸ばした。2011年末に発売されたKindle Fireの保有率は、E-Book購入者の20%に達している。不調が伝えられるNookだが、なお15%を保っている。逆にiPadの保有率は15%から4ポイント上がったものの、なお19%。E-InkかタブレットでE-Bookを購入した消費者をみると、Kindleファミリーが55%、2位がNookで14%、iPadを含むタブレットは13%に留まった。E-Book購入層におけるKindleの強さとiPadの“弱さ”が目立つ。

本誌が主張してきたことだが、アマゾンの独走を許したのは、デジタルと紙、オンラインとリアル書店の単純な二項対立の幻影に憑りつかれた既成勢力の対応だった。コンテンツとデバイスの覇者であるアップルですら、本の市場では存在が小さい。それは紙の本のせいだ。「白猫でも黒猫でも、お客を捕まえる猫は良い猫」というベゾス流のプラグマチズムは、理に適ったもので、背を向けるわけにはいかない。オンラインとリアル書店の矛盾を止揚するコンセプトが具現化するまでは、アマゾンのシェアは拡大を続けるだろう。  (鎌田、05/14/2013)

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