オライリーがTOCから撤退:議論からビジネスへ

TOCTOC (Tools of Change) Conferenceを主催しているオライリー・メディアのティム・オライリーCEOは5月2日、今年をもってTOCから撤退することを表明した。すでにデジタル出版が普及したいま、出版とテクノロジーの対話の場を提供することから、独自のツールを市場化することに集中する、としている。2007年サンノゼで第1回を開催して以来、新(Web)世代の出版技術の発展方向をリードしてきたTOCは、7年でその役割を終えることになった。

技術出版プラットフォーム Atlas に重心

change4オライリー社は技術系出版のための協調型出版プラットフォーム(コードネーム’Atlas’)の開発を進めており、ワンタッチ出版(紙、PoD、デジタル)を実用化したほか、デジタルの真価を発揮するリーディング・プラットフォーム(Web 2.0/3.0のアイデアを具現化するもの)の開発を進めている。このあたりは『マニフェスト:本の未来』(ボイジャー刊、2013)に提起されている方向だと思われる。オライリーはまた、自社の出版だけでなく、マイクロソフト・プレス、ワイリー、エルセビア、ノー・スターチ・プレスなど、大小の技術系出版社と提携して、DRMフリー、アマゾン非依存の出版プラットフォームを推進しようとしている。

photo_tim_sオライリー氏は、1978年の創業以来、“テクノロジー・トランスファー・カンパニー”を標榜している。すでに世界の大都市のブックフェアがデジタル技術に対応した内容を整え、さらにTOCと似たコンセプトを持つイベントも多くなった現在、所期の目的は達成されたと判断したのだろう。変革について語ることから、自社開発の Tools of Change(変革の道具)である Atlas(天の蒼穹を支える者)を普及させることに集中するという理屈は説得力がある。オープンソース/オープン・スタンダードの推進者であるオライリーのAtlasには大いに期待が持てる。 (鎌田、05/06/2013)

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