“ハイブリッド”作家は何を考えるか:DBW/WD調査

authorreport2_cover_2在来型の出版と自主出版の両方を行う職業作家は米国で“ハイブリッド”(言わば二刀流)と呼ばれ、数と重みを増しつつある。Digital Book World (DBW)とWriter’s Digestは、彼らを対象とした調査を行い、5月29日に概要を発表した。今回の調査は「習性と好み」を中心に聞いたもので、出版社を通さない自主出版を選ぶ理由が明らかになっている。(1)自由、(2)お金、(3)気軽さ、ということだが、77%以上が「自由」つまり好きにつくれることを理由に挙げている。

自主出版か在来(ブランド)出版かを選ぶ時代

最近作を自主出版した著者に、これを選んだ理由を聞いたところ、約3分の2の回答者が、「最終的な完成品に至るまで著者が本づくりをコントロールできる」ことを挙げ、約40%が「手続きが簡単であること」、40%近くが収入と答えていた。対照的に、出版社を選んだ著者の場合は、半数近くが、「完成に至るまで出版社から得られる支援」を挙げ、半数近くが「流通のスケール」、3分の1あまりが「ブランド出版社から出すことで主要書店の棚に並ぶ」ことを理由としていた。出版社から出す場合には、なんといっても時間がかかり(一般的に決定まで1年近く、発行まで半年以上)、編集・デザイン・装丁などでは出版社の意向が優先されることが多い。それを嫌う人が自主出版を選ぶというケースが多いようだ。

この調査は次回作をどちらで出すかを聞いているが、ほぼ拮抗しており、出版社を選ぶとしたのは半分強。自主出版すると答えた回答者の理由は、上記のように、「自由」が4分の3あまり、「収入」が約6割、「気軽さ」が約3分の1だった。最近作の場合と比べて、とくに「収入」が過半数を超えたところに注目したい。おそらく前回までの経験で自主出版のビジネス的魅力が実感されたと思われる。逆に出版社を選ぶ作家の理由は、「流通」が6割、「支援」が半数、「ブランド」が半分弱となっている。こちらは「流通」つまりマーケティングによる市場へのアクセスへの期待が高まっている。
why-authors-want-to-self-publish出版社は、デビュー前の無名新人が自主出版でデビューし、一定の評価と知名度を獲得した後で出版社を選んでくれることを期待している。E.L.ジェームズやスーザン・コリンズの場合のように。しかし、逆の場合(ブランド→自主)もあり、ハイブリッドも目立ってきた。著作者は出版社のメリットとデメリットを評価している。出版社としては「選ばれる理由」が問われている。

なお調査は、DBWとWriter’s Digestが共同で、“ハイブリッド”作家を対象に、4月2日から24日の約3週間にわたって実施された。設問は20で回答数は121と発表されている。レポートは予約発売中。昨年12月に実施された調査のレポートは、有償でこちらから入手できる。 (鎌田、05/30,2013)

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