デジタル化で進む英語出版物の氾濫

made_in_usa米国の出版社が2012年に海外で販売した英語E-Bookの売上が、前年比63%増の1億2,150万ドルに達したことがAAPの発表で明らかになった。印刷書籍は1.3%増の7億1,180万ドルと停滞。デジタル比率は一気に14.6%となった。アマゾン、アップル、Koboなどのグローバル・プラットフォームの欧州、アジアへの拡大の結果、米国以外でのデジタル・リーディングが普及し始めたことが背景にある。出版社もマーケティング活動を強化しており、出版市場の国際化と世界的企業再編が急速に進むことになろう。

インフラ整備進み、E-Book輸出63%と急増、デジタル比率も15%に

書籍の輸出増がほとんどデジタルによるもので、それどころか紙の輸出にはまったく影響がない、という事実は、出版社を瞠目させたろう。輸出総額は8億3,338万9,000ドルで前年比7.2%増。印刷本の地域別ではアジア、欧州、英国、豪州、南ア、インドと続いている。国別では、英国、ドイツ、オーストラリア、韓国、フィリピン、シンガポール。E-Bookでは欧州がトップで、英国、ドイツ、オセアニア、南ア、インド。国別では英、豪、独、仏の順。国別の伸びではドイツが目立っている。E-Bookでは全分野で伸びているが、とくに児童、青少年向けフィクション(古典も現代物も)が目立った。

地域別ではアジアが重要な市場になりつつある。中国、マレーシア、インドネシアは伸び率も大きいが、とくに英語教育関係の需要が拡大しており、これは長期的な文化市場の動向にも影響を与える動きだ。アジアは英語出版における重要市場である。オンライン販売の増加は、イタリア、スペイン、日本、フランス、中国、ドイツ、ブラジルなどで増加したが、大手リテイラーのストア開設を反映したもの。

なお、AAPの数字は BookStats 2013 をもとに推計したもので、国別データは有力出版社150社に基づいている。カナダの扱いは出版社ごとに異なるので、含まれていない。

netglove英語出版物の世界的浸透は、21世紀前半の歴史的に重要なトレンドで、文化的・社会的に大きな影響をもたらすことになる。すでにビジネス系、科学技術系では、WebやPDFのドキュメントとして圧倒的に普及した。世界的に、中程度以上の職に就くためには、英語が不可欠になり、初等教育での英語教育需要が高まり、英語のフィクションに親しむ子供が増え、それがさらに英語出版物への需要を高めるというサイクルが働いている。出版のデジタル・インフラ(企画・製作・販売・マルチメディア化)が整備された米英が出版の中心となり、世界的な業界再編を進めていく可能性は強い。あくまでホームグラウンド(流通システム)から離れたくないからだ。

米国主導の再編を嫌ってデジタル化を遅らせようとするのは、まさにその逆の結果をもたらす。それでもやめられないのは、優越的な地位にある者ほど、認知的不協和のストレスは強く、望むことだけ信じたがるということになるだろう。 (鎌田、06/30/2013)

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