韓国出版界のデジタル嫌いはいつ変わるか

SIBF東京国際ブックフェアは来週開催されるが、ソウルのフェア(SIBF)は先週開催され、PublishingPerspectivesのロジャー・タグホルム氏のレポートが韓国の現状の一端を伝えている (PP, 6/24)。出版市場は(日本と同様の理由で)芳しくないようだが、韓流文学の海外での評価が高まったことで、政府も輸出に力を入れ始めた。出版社が嫌がっても、普及の手段はやはりデジタルしかない。韓国出版界のデジタル嫌いも、たぶん急速に変わるだろう。日本とどちらが先になるか。

気になったのは、韓国の出版市場が縮小しており、その原因の一としてタブレットの普及が疑われているらしいことだ。大韓出版文化協会(KPA)の関係者は、本を読む人が多かったかつてのソウルの電車通勤風景と、タブレット/ファブレットで見逃したドラマに見入る現在の風景を比べている。サムスンの母国では確かにタブレットの普及率が高い。しかしなぜタブレットで本を読まないのか。E-Bookで入手できないから。なぜ入手できないか。出版社が海賊版を怖れ、図書館に寄託するのも嫌がっているから、ということらしい。消費者を信用できないのでは話にならない。これは日本とも共通する業界心理。

韓国の作家は海外に活路を見出している。シン・ギョンスク(申 京淑)の『母をお願い』(左)は多くの国で翻訳され、アニメ映画で有名になったファン・ソンミの童話『リーフィ』は米国でペンギンから出版された。TVドラマや映画、音楽、ゲームに続いて、韓流文学が世界で評価される前兆ともみられる。今年のSIBFにはパク・クネ大統領が開会を宣したが、これは韓流の言語文化の国際化に大きな関心を持っている表れとして注目されている。しかし、それにはデジタル読書人口を増やす努力が必要だ。E-Bookが安価に提供されれば、海外在住の韓国人や韓国系市民が市場として活性化し、彼らを通じて現地への翻訳も進むし、言語・文化情報の流通が増える。

デジタル時代の出版は、引き籠っていてはフェイドアウトするしかない。ドラマはDVDの海賊版で、K-PopはYouTubeで海外市場にアクセスし、拡散した。知られなければ、関心を持たれることはない。海賊は最も安価なマーケティング手段なのだ。(鎌田、06/27/2013)

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