「リラックス」すれば見えてくる雑誌の近未来

iPad_magazine近未来の雑誌の姿を探るプロフェッショナル向け有料セミナー、Relax Media Marketing 2013 (RMM)が6月13日、電子出版ラボの主催で開催された。いわゆる「電子雑誌」を半日のセミナーとしては、基調講演から、ビジネス(事例)、サービスをおさえて第一線の顔ぶれによるパネルまでの盛り沢山な内容。日本の雑誌出版業界が紙の雑誌のレプリカ(複製)を脱し、総合的なデジタル情報サービスとしての雑誌ビジネスモデルの再構築へ向かう端緒をなしたものと言えよう。ここでは簡単に印象を記しておく。

「電子雑誌」をテーマとしつつ、「リラックス・メディア」という言葉を使い、「雑誌の近未来」を語るものとした意図は、筆者なりに理解した限りでは、紙のレプリカを意味した「電子雑誌」を避け、読者・パートナーとのつながりを維持しつつ、印刷物の定期配布という制約から自由な新しいメディア/サービスを(雑誌の近未来として)デザインしてみたい、ということなのだろうと思う。そう思って聞くと「リラックス・メディア」は納得できる気がする。

RMM考えてみれば、紙の雑誌はリラックスからほど遠いものだったとつくづく思う。締切りの厳しさ、特集企画のプレッシャー、直前の変更による混乱、徹夜の出張校正、印刷費の支払い…。それに比べデジタルは、モノづくり的にはリラックスできる。いやリラックスしなければビジネスにならない。モノづくりではなく「コミュニケーション」のデザインなのだから。ある種の(すでに無意味となりつつある)プレッシャーの下で仕事をするのに慣れている人たちが、別の(創造的)プレッシャーの下での仕事に移行するのは、もちろん簡単ではない。しかし、参加者は昨日のイベントによって、これまではそのイメージすらつかめなかった状態からは大きく前進することが出来たように思う。何をすべきなのかが見えてきた、ということだ。

書籍に比べれば、雑誌ははるかに複雑なコンテクストを背負っている。それだけにたんなるレプリカでは商品になりにくいし、中途半端ではE-BookやWebに食われてしまう。だから、雑誌の姿をデジタルにすることは、保存という以上の価値を生じない。雑誌ではなく雑誌ビジネス(社会的機能)の再定義が問題なのだ。機能に注目すれば、このビジネスがとてつもないポテンシャルを持っていることが見えてくる。E-Book 2.0 Forumでは、RMM2013で見えたものをシリーズとしてまとめ、共有していただきたいと考えている。(鎌田、06/13/2013)

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