アップル「価格談合」全面敗訴でダメージは?

judge_appleニューヨーク南地区連邦地裁のデニーズ・コート裁判長(写真=下)は7月10日、アップル社を被告とする2010年のE-Book価格談合事件公判で、出版社の談合とは無関係とするアップルの主張を悉く却下し、首謀者としての行為の違法性を認定した判決を下した。アップルは直ちに控訴の意思を表明した。すでに大手出版5社は和解に応じているので消費者には直接の影響はないが、アップルにとっては少なからぬダメージとなった。次の焦点は、損害賠償額の認定となる。

アプリのビジネスモデルに影響も

cote_profile_onlineアップルは、「アマゾンの価格設定に対する出版社の怖れと焦燥を好機として、鮮やかにゲームに加わり主導権をとった。」と判決は述べる。E-Bookの価格引き上げのためのビジョン、フォーマット、タイムテーブル、振り付けなど必要なことはアップルが提供した。単純にアマゾンとの価格競争を回避するためであった。判決は、エージェント価格制に移行した2週間で、5社新刊の平均価格は14.2%上昇。NYTベストセラーは42.7%、E-Book全体では18.2%の上昇を見た、と述べ、こうした外形的事実と、「謀議」を記録したメールなどの証拠をもとに、原告・司法省の独禁法提訴を支持した。

判決にはあまり驚きはないが、先月の審理でアップル弁護団が目ざましい弁論を展開し、成果を得たとする印象を覆したもので、意外と感じたメディアもある。弁論の中心は、(1)アップルの意図は競争回避ではなく、アマゾンの独占打破、(2)出版社の価格謀議には参加せず、というシンプルなものだ。ほとんど一蹴されたことで、控訴審での勝訴確率はかなり低くなった。賠償金額は、2010年4月1日から2012年5月21日までにE-Bookを購入した消費者に対して支払われることになるが、詳細は今後の審理で決まる。

アップルと業界にとって重要なことは、裁判所がアップルに対し、賠償のほかに要求する是正措置の内容だ。司法省の当局者は、他の小売業者がアップル・デバイス向けアプリを通じ、アップルへの手数料なしで販売する権利を認めることなどを要求する可能性があるとしている(法廷書面→PDF)。そうなればアプリ内決済を使ったアップルのビジネスモデルが否定され、大きな影響があるだろう。アップルのコンテンツ事業が、転換・再構築を余儀なくされる可能性もある。アップルが単独でこの不利な訴訟を継続した真の動機について、これまであまり詮索されてこなかったが、そちらの問題が浮上するかもしれない。これはフォローする必要がある。 (鎌田、07/11/2013)

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