静かに離陸を始めた中国電子市場

61G3OupaJJL._SL160_中国の新華社は7月17日、北京の情報サービス企業 OpenBook Co., Ltd. が中国人の読書習慣について行った10回目の調査結果を報じ、E-Bookを購入したことがある回答者は4人に1人と2010年当時と同じであると伝えた。しかし書店内での聞き取り調査で、オンライン書店を主な購入先と回答したのは10%から21.2%と倍増している。Kindle商店も6月にサービスを開始した。単純に「変化なし」と即断するのは地殻変動を読んでいない可能性がある。(写真は莫言『生死疲労』Kindle版の表紙)

OpenBookの調査は、書店での聞き取り(回答=3,561)とオンライン(同4,487)で計8,048人から回答を得ている。前者のデータでは、E-Bookの購入経験がない者は、ある者の7倍に上り、この比率は2010年より高いという。しかし、オンラインでの購入はかなり浸透しており、少なくともリアル書店以外からの購入は増えている。当然のことながら、アマゾンは、オンラインでの書籍購入をデジタルコンテンツ購入へのステップとして重視しており、Kindleストアの開設はそのことを反映している。

launch2012-xsite-paperwhite-tcg-d-CN-470x200._V383688471_日本では中国出版市場は過小評価される傾向にあるが、すでに世界市場では米国に次いで第2位にランクされている (IPA, 2012)。小売売上高では第4位の日本の71.3億ドルに対して106億ドル。もちろん市場は成長しているから、欧米のJD出版社の関心が集まるのも当然と言える。オンライン書籍/コンテンツ販売においてはアマゾンのほかに、eコマースの Jingdong (JD=京東、ユーザー5,000万人)、Dangdang (DD=当当、不明)があり、アップルも急伸していると言われている。JDの2012年の書籍売上は10億元で、今年はさらに3倍増が見込まれている。印刷書籍の取扱点数は120万点、20万点は英語の輸入図書。E-Bookへの参入は昨年で、中国語タイトルの点数は25万点。

Dangdang_logoしかし、E-Book市場はまだ離陸以前の状態にある。デバイスでは昨年ようやくスマートフォンがPCから首位の座を奪った段階で、タブレットやE-Readerが主流となるまでに行っていない。その結果、コンテンツも長いものは少なく、平均価格も100円程度と安いものが多い。しかし、多くの関係者は Kindleの登場によって状況が変わると考えている。問題は「平均」ではなく、中心的読者層が(オンライン購入を通じて)デジタル読書に移行するタイミングである。ベストセラー書籍が低価格であることは、むしろ巨大な市場を離陸させる上で重要な役割を果たすように思われる。

大手出版社の一つ商務印書館のユ総経理は、「国内の読者の大多数はE-Bookを購入する経験を持っていないが、需要は増大しており、政府の政策や規則の改訂によってオンライン読書は普及する」と述べている。アマゾンはKindle Paperwhiteを849元(約1万4,000円)、Kindle Fire HDを1,499元とかなり高い価格で販売しているが、市場をリードするコア読者層に的を絞ったためと思われる。 (鎌田、07/22/2013)

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