EDUPUB開催とEPUB3の教育への拡張 (♥)

idpf_logo2EPUBの標準化団体であるIDPFは7月30日、今秋10月29-30日の2日間、ボストンでデジタル教育出版に関するワークショップ EDUPUBを開催すると発表した。EPUB3とその他のOpen Web Platformを使った電子教科書や教育素材の開発のためのオープンなグローバル・エコシステム構築に向けたイニシアティブの一環で、出版、教育、サービス、標準化関係者の参加を想定している。EPUB3の教育分野への拡張を示すものとして注目される。プログラム委員長はマーカス・ギリング氏。[全文=会員]

新世代の教育ドキュメントの基盤としてのEPUB3

ワークショップは、W3Cおよび IMS Global Learning が後援に名を連ね、出版のピアソン・エデュケーション、出版ITサービスの Aptara SPi Global がスポンサーとなっている。EDUPUBは"EPUB 3 for Education" のイニシアティブのステップとなり、eラーニングおよび教育出版のためのEPUBの拡張標準策定のための作業に着手していくことになろう。標準化のためには、幅広いステークホルダーを一堂に集めて、個別分野での関連作業の進捗とニーズの確認、方向性の共有を行うプロセスが必須となる。

ibooks_authorホストとなっているピアソン社は、教育出版の最大手で、大学教科書や技術教育図書を含めて幅広い分野をカバーし、デジタル比率、グローバル化比率はきわめて高い。おそらくIDPFにおける標準化をリードしていく意向と思われる。なお教育分野のパートナーとなるIMS Global (Learning Consortium、IMS GLC)は1995年、米国の EDUCAUSE の National Learning Infrastructure Initiative (NLII)プロジェクトを前身として生まれた非営利団体で、教育・学習技術分野の主導的な標準化機関として活動している。

EPUB教科書や教育におけるITの導入は20年以上の歴史があり、多種多様な標準は覚えられないほどだし、またそれら以上に独自の実装製品やコンテンツも膨大な数に上っている。そちらの関係者にとってみれば「何でいまEPUB?」といったところだろう。しかし、汎用的なドキュメント標準としてのEPUB3の可能性を主張してきた筆者としては、EPUB3が教科書/教育に進出すべき理由は十分にある。要約すると以下のようになるだろう。

  • 過去の教育系標準は(膨大な専門的作業の集積でリスペクトすべきだが)、21世紀に入って意識され始めた教育およびITのパラダイムを反映せず、技術的な土台にはならない。
  • EPUB3は HTML5+CSS3+JS というオープンWebの利点を、拡張的で動的なE-Book に初めて総合的に集約し「使う本」としての教科書を最も完全にサポートする。
  • 職業/専門教育を含め、今日の教育はすべて、相互に(そして他のシステムと)連携する必要を持っているが、それに対応するにはEPUB3をベースとして再構築するのが最も合理的。
  • 独自フォーマットやEPUB3を使いながら、コンテンツの商業利用に制限を付けるアップルの iBooks Author が先行的に独自の教科書市場を開拓しているので、オープンなエコシステム構築を急ぐ必要がある。

key-to-growth本(ドキュメント)は知識情報の交換のための道具である。デジタル時代の「使う本」の標準として生まれたEPUB3が重要なのは、Webを通じたあらゆる情報へのアクセスを可能とすることで、インタフェースとしての本の価値をあらゆる方向で発揮させるということだ。その新しいパラダイムには、伝統的な商業出版社よりも教育やビジネスを中心とした21世紀の情報ビジネスが強いニーズを持っている。出版ITサービスは、もはや電子組版の焼き直しではなく、「実社会」のニーズを糧とすることを期待したい。◆ (鎌田、07/31/2013)

Scroll Up