Kindleエコシステムはどう儲かっているのか? (♥)

Kindle_HD投資銀行最大手のモルガン・スタンレー社の調査部門は先週のレポートで、今年のアマゾンKindleデバイス販売額を2012年の26%増の45億ドルと予想した (All Things D)。来年以降は徐々に鈍化し、14年に50億、15年に55億と推移する。つまり10%前後に落ち着くものとみている。デジタルメディア商品販売については、今年が38億ドル、来年はデバイスを超えて57億ドル(50%増)と予測。“先憂後楽”型のビジネスモデルは着実に前進しているようだ。[全文=会員]

2014年以降はコンテンツ売上がデバイスを逆転へ

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上の図は、今年2月にBusiness Insiderに掲載されたもので、モーガン・スタンレー(MS)のアナリスト、スコット・デーヴィット氏の推定したKindleエコシステムのモデルに基づいている。Kindleは年間で5.6億ドルあまりの粗利益を出している計算だ。なおBIはジェフ・ベゾス氏も株主であり、このチャートもそう外れてはいないだろう。

MSリサーチの数字と予測はアマゾンの公式発表と独自調査を組合せたものとされる。8月5日に発表されたIDCの2Q13タブレット・レポートによれば、アマゾンは5位圏外に出て「その他」に分類されている(先週号記事参照)。5位のエイサーが140万台なので、100万台近辺というところなのだろう。周知のように、アマゾンの場合はデバイスが独立した事業ではなく、ビジネスモデルの部品に過ぎないので、採算点も販売目標も単純に他社と比較できない。また iPadや他の Android機でもしっかりコンテンツを販売しているので、iPad-iTunes の場合よりは依存度も低い。とはいえ、最低ロットを下回ればコストが増えるし、市場での影響力は低下するから、コンテンツ販売にも影響する。ビジネスモデルの健全性を保つ意味から、一定の台数は必要なはずだ。おそらく年間500~1,000万台の間にいくつかのラインが引かれているはずだ。

Kindleはマルチデバイスをサポートしているので、そのメディア販売は、必ずしもKindleだけに依存していない。Kindleで買って PCや iPhoneでブラウズしたり、その逆も少なくない。だからKindleデバイスとKindleアプリ(他社デバイス)の利用パターンと最適バランスについて、アマゾンは最大の注意を払って観察しているだろう。ともかく四半期シェア3%で150万台を切る状態が続くことは好ましくないのは確かで、9月にも予想される新製品の価格設定は、それを反映したものとなるだろう。先週Kindle Fire HDの米国販売価格は$199から40ドル(約25%)に値下げされたが、これは新製品が最低でも25%以上パワーアップされることを示すと思われる。

アマゾンのメディア収入は全売上の30%あまりを占めるが、利益率は高く、クラウドへの投資の原資をも生み出してくれるので、財務、マーケティングという観点から見ても最重要部門と言える。

ところで、MS社はKindleシステムにおける広告収入について、1億9,200万ドルと推定している。アマゾンがデバイスの価格を下げるために使っている広告に関するこうした推定は、おそらく初めてだと思う。デバイス収入、コンテンツ収入に対して各5-6%だが、単純に50ドルで割ってみると384万台分となり、広告掲載モデルもそれなりの貢献をしていることがわかる。何をやってもそつのない会社だ。◆ (鎌田、08/14/2013)

 

 

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