進むに進めず、引くに引けないB&N (♥)

B&N_storeB&Nは2014年1Q (13年5-7月)の決算を発表したが、売上が8.5%減の13億ドル、連結損失は8,700万ドルと倍に膨らんだ。Nook事業の急降下が止まらず、前年同期比20%減の1億5,300万ドル。タブレットからの撤退を表明しているデバイスは当然としても、コンテンツも減少しているのが痛い。リッジオ会長による書店の買取り計画は「延期」と発表。しかし、不思議なことに従来の路線を撤回して、正攻法による復活を表明している。これはどう読めばいいのか。[全文=会員]

コンテンツ事業に留まろうとするなら、デバイスからの撤退もない

Nook事業について見ると、前年とほぼ同じ5,500万ドルの赤字。大規模な在庫調整が迫られたデバイスは、前年同期比23.1%減の8,400万ドル。コンテンツも15.8%減の6,900万ドル。同社は昨年のような爆発的なヒット作がなかったためとしているが、それを除いても6.9%のマイナスという数字は、市場全体が拡大している中では大きな後退を示すものだ。年間の赤字が2億ドルを超えるというペースは、かなり危険な水準だ。

レナード・リッジオ会長は、同氏個人による書店チェーン部門の買収計画を「延期」すると表明した。「目下の重点は、Nookを所有する1,000万人以上の顧客へのサービスに注力し、小売事業の構築と店舗や市場でのNook製品の販売を加速すること」と述べているだけで、具体的なプランは示されていない。しかし、GigaOmのローラ・ハザード・オーウエン氏の記事(08/20)によれば、投資家との質疑応答から、B&Nの方向が、これまで表明されてきたこと、あるいはビル・リンチ前CEOが目指してきたNookの分離路線の撤回(反転)が読み取れる。

dead_end小売事業担当のミッチェル・クリッパーCEOによれば、BN.comを来年大改装し、検索機能や情報の精度などを改善するという。また、Nook事業のヒューズビーCEOは、B&N+NookのUXを一体化させると語り、さらにデバイス事業からの撤退はあり得ないことを確認した。年内に1機種は新製品を出すほか、数機種の開発も進めているという。しかし、海外展開に関する情報は皆無だった。

こうした新路線が投資家の当惑を呼んだのは当然で、コヨーテ・キャピタルのアナリスト、リック・ショッテンフェルド氏は、これまでNook事業で15億ドルが消え、書店事業の利益で補填しているとの推定をもとに経営陣を追及し、情報の公開を求めた。CEOがこれをはぐらかしたのはもちろんだが、Nookデバイスの重要性を次のように強調している。「もしコンテンツ事業に留まろうとするなら、どんな製造、調達方法をとろうと、デバイス事業から撤退するという選択肢はありません。私たちは他社よりも良いデバイスをつくるつもりです」

マイクロソフトがNook事業の買収に関心を示したと伝えられたのは5月のことだったが、分離に伴うコスト(+混乱)が想像以上に大きく、Nook事業も急降下したことから断念したようだ。ヒューズビーCEOは、分離そのものは正しいとしながらも、現在そのタイミングではなく、また外部からの提案には耳を傾けるとした。

keep_going1,000万人以上のユーザーを持ち、Kindleに次ぐ規模を持つNookは、買い手によっては優に10億ドル以上の価値がある。しかし、B&Nを分離すれば、Nookの価値はほとんど失われることが判明した以上、そしてデバイスはNookの不可分の一部である以上、当面はサービス品質向上によるユーザー価値の向上という正攻法で行くしか方法はない。しかし結局のところ、Nookを早く売って書店を買戻したいというのがリッジオ会長の希望なのであり、中途半端にならざるを得ないだろう。(鎌田、08/21/2013)

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