本の価格戦争に新局面:紙もデジタルも

websweb_servicesallmerchantsoverstock_com1-resized2001米国の通販企業オーバーストック (Overstock.com)が7月25日、「ハードカバー本をアマゾン価格より1割引」という期間限定セールを仕掛けて話題になっている。両社のリストで共通する36万点あまりが対象だが、アマゾンも1日遅れで対抗した。新刊ベストセラーの実売は定価の50-65%引きというかつてない低水準を記録したことになるが、話はまだまだ続きそうだ。B&Nがなんと英国で、E-Bookの価格戦争の戦端を開いたからだ。どうやら新しい局面に入ったようだ。

20130725-dep9-books-A1オーバーストックは1週間で終わらせるはずだったセールを8月7日まで延長することを発表。その先も検討することを示唆した。これは2009年にウォルマートがベストセラー10点を$9.99で販売し、アマゾン(とターゲット)が応戦して1ヵ月の価格戦争が続いて以来のことだ。米国の量販店や通販ストアが、ベストセラー本の特価販売を目玉にして客寄せに使う手法は古典的なものだ。現に筆者もこの話題から Overstock.com に引き寄せられ、本の価格チェックもそこそこに、家具のカタログに見とれてしまった。しかし、2009年当時と比べると、対象がかなり膨大なので、アマゾンにも負担が避けられない可能性がある。なお、他の書店はこの戦争を静観している。

アマゾンは「低価格販売」を武器にしているというイメージがあるが、基本的に「他社より安く」という原則から受動的に設定されており、大手量販店のように「仕掛ける」ことはない。ベストセラー首位を独走するダン・ブラウンの 'Inferno' が61%引きで$11.65、ハレド・ホセイニの 'And the Mountains Echoed' が58%引きの$12.04、シェリル・サンドバーグの 'Lean In' が64%引きの$9.09などとなっている。J.K. Rowlingの 'The Cuckoo’s Calling' は42%引き。

Nook logo以上は通販大手の争いということなのだが、B&N/Nookが英国で仕掛けた “Hot Summer Books”キャンペーンも衝撃的だった。多くのベストセラーが0.99ポンド(≒150円)で販売されており、ホセイニのベストセラーも「93%割引」といった具合。アマゾンも(全部ではないが)多くについてほぼ同価格を付けて応じた。B&N Nookが最初に仕掛けた例は記憶にない。

問題はかなり複雑だ。米国の価格談合事件における司法省と出版5社の和解条件では、アマゾン(あるいはオンラインストア)の値引き可能額は、販売手数料(30%)の範囲内で、基本的に卸価格を下回って販売することができないとされているはずだが、この割引幅は理解が難しい。個々のタイトルについて、期間限定であれば問題はないのかも知れないし、米国外は適用されないのかもしれない。価格に関する新しい動きは秋以降に継続するだろう。 (鎌田、08/01/2013)

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