アップル・ビジネスモデル最大の危機!?

Apple_logo真夏の休暇シーズンでも、今年は大きなニュースが途絶えることはない。ジェフ・ベゾス氏がワシントン・ポスト(WP)紙を買収したのはその一つだが、アップルと司法省(DoJ)との白熱した応酬は、それ以上に重大と言える。場合によっては、現在のアップルのビジネスモデルが禁止され、アップルの分割が求められる可能性も皆無ではない。アップルが独禁法違反(談合)事件の“主犯”と認定されたことに始まり、それによって第2段階が始まっている可能性が強いのだ。

iOS/iTunes ビジネスモデルの解体を要求する司法省

7月10日の判決で勝訴したDoJがアップルに求めたのは、直接的な再発防止措置に止まらず、「根本原因」であるiOS上のiTunesビジネスモデルそのものの“廃止”だった。iBooks公判でアップルが主張した「(最恵国待遇=MFN条項を求めるのは)他のコンテンツでも日常的」ということを逆手にとって、音楽やゲームなども含め、価格の引上げ、固定、設定に関与することを止めさせようとしたのだ。

  1. 競合となるブックストアに対し、 2年間、アプリ内決済(IAP)機能を無償で利用可能なリンクを提供することを求める(DoJによれば、これで時計の針をエージェンシー価格制以前の状態に戻すことになるという)。
  2. 5年間にわたり、談合の相手となった5社との間で、アップルによる値引きを制限するような契約を締結することを禁ずる。
  3. 独禁法令の遵守のための監視員の採用(10ヵ年)と給与の支払い(過去の行状からしてこうした措置の必要性は明らか、とまで述べている)。

Punishment on the Rackこうした要求は、もちろん異例なことで、アップル幹部が驚嘆し、狼狽し、憤激したことは想像に難くない。アップルにしてみれば、石垣の修復を理由に幕府に改易を言い渡された外様大名のような精神状態か。アップルの8月2日付法廷書面の表現が、さらに異例な激しさとなったのも納得できる。アップルはここで、3段階の反論を行っている。(1) そもそも無罪であり、上級審では一審判決を覆せる十分な根拠がある、(2) たんなる価格に関する談合に対して、不釣り合いに過酷な懲罰を要求している、(3) 書籍とは無関係な、他のメディア事業も対象に含めようとしている、というのである。

メディア業界、IT業界にもアップルの主張を支持する声は少なくない。しかし、すでに判決書の中でアップルのエディ・キュー上級副社長と出版社の首脳たちを「信用できない」と決めつけているコート裁判長が下す判断によっては、上述した第2段階は鮮明になるだろう。それは第2審の開始を待たずにアップルのビジネスに影響を及ぼし始め、企業として「プランB」を用意する必要が出てくるだろう。

余談だが、アップルは民主党支持者が多いことから、こうした苦境に立たされることを予想していた人はほとんどいない。しかし、穿った見方をすれば、課税回避で巨大な利益を蓄積した上に、米国内での雇用に貢献することの少ない(と見られている)企業が厳しく追及される時代になっているのかも知れない。さらに米欧独禁当局の連携に「陰謀」を感じる人もいるかもしれない。少なくとも、独禁政策の当時者は、マイクロソフトを縛ったことでネット市場の爆発的成長を実現した過去の再現を構想している。この問題の展開がメディア市場を左右することだけは確実だろう。 (鎌田、08/08/2013)

参考記事

 

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