Kindle次世代はデバイスを超えた読書環境

kindle-paperwhite-education-1-380x253アマゾンは9月3日、Kindle Paperwhiteの第2世代機(Kindleとしては第6世代)を発表した(→日本語サイト)。画面解像度は212ppi に向上し、コントラスト比、発光機能を改善。CPUやメモリを増強 (4GB)しつつ、30%の軽量化 (206g)が図られたが、注目は読むための環境機能(ページ番号、辞書、簡易翻訳等)の充実。他方で日本価格は9,800(1,980円分のKindle本クーポン付)に上がった。リリースは10月22日。

デバイスの価値はエコシステムで決まる時代に

KindlePaperwhite_PageFlip新しいPaperwhiteの米国での価格は119ドルで、日本では9,800円。日本での低価格方針は維持しており、2,000円相当のクーポンを考慮すれば、旧 Paperwhiteの価格を据え置いたとも言える。米国ではさらに69ドルのローエンド版Kindleも発表されている。

E-Readerはシンプルなほどよい(そうでないとリーダではない)ので、デバイスとしての改良は、部品の更新と総合的なユーザビリティの改善に限られる。前者だけでは差別化にならないので、コストのかかるのは主にソフトウェアとテストということになる。こちらは必ずしも成果が約束されているわけではない。E-Readerのユーザビリティについては、教科書的なガイドラインがあるわけでもないので、ユーザーの声を丹念に拾って課題として整理し、解決していくことになるが、日常的な改善以上の大小の「イノベーション」を発見し、統合できるかどうかが開発上のテーマとなる。アマゾンはそういうことが得意な会社だ。

E-Readerというものは、やたら買い換えるものではなく、むしろ何年も愛用され、家族などに贈られることも少なくない。プラットフォームの側では、1台のデバイスのライフサイクルにおいて、いくら売上げるかに取組むことになるが、そこではファームウェアやサービス上での機能改善も含まれる。今回の発表でベゾスCEOは、Kindle MatchBook、Kindle Owners’ Lending Library(40万点以上)、最近買収したGoodreads、Kindle Singles、Kindle Worlds、Kindle FreeTime…とエコシステムの豊かさを強調していたが、こうしたサービスとの連携もデバイスの価値を高める重要な要素だ。アマゾンは「最高のハードウェア、最低価格のコンテンツ、最高の読書支援機能、最高のカスタマ・サービス、パーソナルな推薦機能、読者レビュー、その他を一つの統合サービスとして」ユーザーに提供することにより、Kindleのオーナーが紙の本とE-Bookを含めて、以前に比べ4倍も多くの本を読んでいることを強調しているが、デバイスはこうした戦略の道具の一つなのだ。

次世代のサービス+マーケティング機能

新しい付加機能として重要なものは、以下のようなものがある。

Kindle Page Flip:飛ばし読み(例えば章ごと)の拡張と開始ページ復帰
Vocabulary Builder:辞書で参照した用語をリスト化
Smart Lookup:単語について辞書その他参照情報を全文引用表示
In-line Footnotes:脚注をそのままインラインで読める
Kindle MatchBook:アマゾンで購入した印刷書籍のKindle版を$2.99以下で提供
Goodreads Integration:ソーシャルリーディングサービスとの統合
Kindle FreeTime:子供の読書教育のための保護者向け管理ルール

feature-goesbeyondabook._V357619673_Kindle MatchBookについては別に取上げるが、CDで行っているのと同様(ただし有料)のサービスで、Kindleエコシステムの潜在価値を大きく高めるものだろう。最後の2つ。Goodreads Integration と FreeTime は年末商戦に向けてのスタートとなる。GoodreadsがKindleとの連携を密にすることは予想されていたが、これを見越してKoboは、自社デバイスでの Goodreads API サポートを棚上げにし、独自のソーシャルリーディング機能を強化する姿勢を明確にした。

第6世代のKindleデバイスは、デバイスの価値を決定するものがもっぱらエコシステムとサービスであることを明確にした。これは決定的な転機となる。Koboはデバイスの高級化という以上の、サービスモデルの独自性が必要になり、UI/UXとデバイス+サービスの一体化というアップルの提示したモデルを完全にマスターした新世代のKindleを前にしたアップルもまた、iBookstoreのサービス展開が必要になってくるだろう。 (鎌田、09/04/2013)

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