NY連邦地裁がアップルへ是正命令

judge_appleNY南連邦地裁は9月6日、アップルのE-Book独禁法違反事件に関連した是正命令(原文)を提示し、7月の判決以降、真夏の数週間を費やした攻防をひとまず終結させた。政府・司法省は全コンテンツを含む「完全勝利」こそならなかったものの、ほぼ目的を達した。アップルは控訴する意向だが、これはあまり意味を持たないと見られている。命令は30日後に発効し、最低5年間の効力を持つ。

大出版社ではなく消費者にコミットすべきだった

denise-cote是正措置の骨格は、もちろんアップルと出版5社との間で、小売側の割引販売を許容する新しい契約を締結させる(つまりエージェンシー契約を禁止する)というものだ。これはすでに発効し、現実にベストセラーE-Bookの価格は下がり続けているが、最終的な命令は、出版社ごとに24(アシェット)~48ヵ月(マクミラン)という、きわめて長期に及ぶものとなった。これによりエージェンシー契約じたいが否定されたものではないにしても、実質的に(長期間)市場から消えることになろう。(写真左は歴史的裁判の主役となったデニーズ・コート判事)

DoJにとっての収穫は、最恵国待遇(MFN)条項の禁止が明記されたことで、「5社」に限定するよう求めていたアップルの主張を退け、全出版社との契約に適用されることになった。他方で、App Storeのアプリ内決済に対する規制(競合のストアに対する無償開放)は命令書から排除され、アップルは最悪の事態を免れた。DoJがさらにアプリ内決済問題に関して別の訴訟を準備するかどうかは不明だが、アップルは今後アプリ開発事業者との関係で大きな法務リスクを負うことになった。

Apple_CookアップルのE-Book市場への参入は、大手出版社の歓心を買うための定価販売制の導入という、反市場的、反消費者的な小細工を弄し、OS中心主義という旧式のビジネスモデルに固執したため、消費者の失望を買った。いかにアップルでも、消費者に背を向けてはアマゾンに勝ち目はない。もしデバイスで得た利益の何パーセントかでも iBookstore やユーザーとの関係構築に投入していたら状況は変わっていただろう。定価制を導入し、大手出版社のE-Book価格を上げることでアマゾンがまったく困らなかったことが以前述べたとおりだ。

「有罪」判決を認めるかどうかはともかく、少なくとも、(1) 消費者ではなく、(大)出版社にのみコミットし、それによって消費者に損害が生じたことへの遺憾を表明し、(2) 今後は自由な小売価格のもとで、消費者への価値提供と iBookstore のエコシステム形成に努めることをメッセージとして出すことが、アップルのためであると思われる。故ジョブズ氏の傲慢さは、彼の魔術の一部であり強烈な魅力となっていた。しかし、魔術も傲慢さも、企業としてのアップルが遺産として継承することは出来ない。何兆円ものキャッシュは、そのビジネスの基盤となっているデザイン文化を創造的に発展させることに使っていくべきだ。(鎌田、09/12/2013)

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