$1.99は自主出版E-Bookの最適価格でない

price2米国でベストセラーE-Bookの平均価格が5ドル台に収斂しつつあるなかで、自主出版タイトルの価格設定が再度注目されている。最近の実績データによれば、一般的な価格である $1.99というのは人気がなく、むしろ$2.99から始めて徐々に上げていく傾向がある。もしかすると、自主出版本ほどベストセラー本より高いほうが無難なのかもしれない。

自主出版者の出版動機は様々だが、売上の最大値よりも部数(≒読者数)の最大値を選ぶ例はそう多くない。まず使った時間の対価を求めるのは自然だ。数点をシリーズで出す場合は、1点を部数狙いに充てる考えもあるが、心血を注いだ1点の場合はそうもいかない。安すぎて失敗するケースは、商業出版社より確実に多そうだ。

KWL9月20日の Publishers Weekly は、1周年を迎え、売上の10%を占めるまでになった Koboの自主出版プラットフォーム Kobo Writing Life (KWL) での実績をもとにした記事が掲載されている。KWLは138ヵ国、50言語を超えており、同事業担当のマーク・ルフェーヴル部長によると、この1年の成長は予想をはるかに上回るものだったとのこと。Koboの上位50位リストには、KWLのタイトルがほぼ5~8点の割で登場するようになった。

KWLは著者=出版者用のダッシュボードを提供しており、価格変更が自由にできるが、ルフェーヴル部長は、$1.99は人気がなく、$2.99から始めて徐々に上げていくケースが目立っているという。これはKoboに限ったことではなく、SmashwordsやKindleでも確認されている。KWLでは$0.99のタイトルは$1.99の2倍は売れるので、売上はほぼ同じになる。それだけで$1.99は無意味ということになる。コンスタントに売れるタイトルの80%は$2.99~$5.99のレンジにあり、また$7.99~$9.99もやや上昇している。

KWLは著者が無料の献呈本、見本を発行することを認めているので、賢明な著者はこれを有効に使って、無償読者を有償読者に転換するという。メタデータを使ってシリーズにリンクするなど、著者もマーケティングに精通しつつある。KWLはダッシュボードの機能を拡張し、著者をサポートしている。自主出版と商業出版の両方を利用する著者は「ハイブリッド著述家」と呼ばれるが、KWLにもそうした著者が増え、自分の本と読者に最適なマーケティングを実践しているようだ。

Smashwords_pricing

Smashwordsのマーク・コーカーCEOは、かなり詳細な分析レポートを今年5月に発表している(上の図)。60%が$2.99を選択しているものの、彼が発見した最適価格は$3.99で、これは$2.99よりも多く売れるだけでなく、無料を除けば部数においても最高を示した。2ドル以下は惨憺たるもので、売上だけでなく、部数においても成功していない。これは安いことが内容の貧弱さを連想させるからだろうか。こうした結果を見ると、では著者が$3.99に集中したらどうなるか? 恐らく購入傾向も変化するだろう。Koboが言う、$2.99から始めて4ドルを目指すというのは、現時点での最適解なのかもしれない。(鎌田、09/25/2013)

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