デジタル読書にハマるロシアの子供たち

Russia_children-280x150Digital Parenting Russia プロジェクトは、ロシアでインターネット・ポータルを提供する Tvidi.Ru の後援の下に、7-15歳の少年少女を対象に、この世代のデジタル読書習慣について調べた興味深い調査結果を発表した(→英文PDF)。生徒の75%は宿題にE-Bookを利用しており、とくに専用E-Readerが好まれている。驚異的ともいえる普及率は、反面で海賊版(非正規コピー)の大流行という現実と一体になっている。

デジタル読者は急速に育っているが、市場はさっぱり

調査は今年6月にオンラインで実施され、1,477人から回答を得た。人口比などを反映した厳密な意味での社会調査ではないだろう。この年代の少年少女の数は約1,200万人で、90%がインターネットへのアクセス可能と考えられている。違法コピー取締は事実上存在していない。こういう環境だとE-Bookの普及は早い。調査からは以下のような結果が得られた。

  • 約半数(48%)がE-Bookを読んでいる。
  • ほとんどが無償コンテンツで、半数以上が専用E-Readerを使っている。
  • 3分の1はタブレットとPCで読んでいる。スマートフォンも広く使われている。
  • デバイスは家族と共用が多く、5人に2人は使用の中断を経験。
  • 90%はP2Pファイル共有ソフトでダウンロードし利用
  • ほとんどは宿題にE-Bookを利用。紙の本は5人に2人だけ。
  • 紙の利点は感じている。

教育と医療が無償だった社会主義時代の無形遺産のためかは不明だが、ロシアと言えば、E-Bookの普及とアンバランスな市場の小ささ、そして違法コピーの多さが問題となる。本調査でも、購入した経験がある子供は5人に1人ということだ。しかし、欧州では(日本でもかつては)、本は買わないで貰ったり借りたりする習慣が定着しているので、買わずに済むものはどうにかして手に入れるというほうが自然な行動と考えるべきだろう。ロシアの状況は、インターネットが普及し、E-Readerが安価(100ドル以下で利用できて、多くの“無償”コンテンツがあったらどうなるかを知る上では格好の社会実験環境を提供している。

デジタル時代の子供の読書習慣の変化は、文明史的に重要なテーマだ。子供の読書は、将来の出版市場の規模を左右し、間接的には社会の知的水準を規定する重要な因子となる。しばしば誤解されるのだが、Webは本を代替するものではなく、紙やインクと同じく、本とその搬送、そして個人的・社会的な読書活動のための媒体に過ぎない。紙とインクではなし得なかったことがデジタルでは可能となる。デジタルへの移行をどう迎えるかは、社会としての盛衰に直結することは間違いない。(鎌田、09/19/2013)

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