Wattpadと商業出版社がハイレベルの提携

bridge米国のソーシャルライティング・サイト Wattpad は、自主出版と商業出版との架け橋としての役割を強めているが、9月5日に中堅出版社 Sourcebooksと相互協力に関して合意を締結。さらに大手出版社 Doubleday から発刊されたマーガレット・アトウッドの新作のプロモーションで提携した。強力なコミュニティを背景に Wattpad はプラットフォームとして重みを増している。

シカゴ郊外に本社を置くSourcebooksは、年間300点あまりを出版する中堅出版社だが、とくにヤングアダルトに強く、Wattpadのライター/読者層と重なる。主な提携内容は以下の通り。

  1. Wattpadのクラウドファンディング・プログラムで選抜された作品を紙とデジタルで出版する直接交渉権をSourcebooks が持つ。タイトルはWattpadのブランドを持ち、またWattpadサイトでは無償公開される。
  2. Wattpad上で大ヒットした2作品、Ali Novak のロマンス 'My Life with the Walter Boys' (2200万回)とNatasha Preston のミステリ 'The Cellar' (600万回)を来春Sourcebooksから刊行する。Wattpadのファンディング・プラットフォームで予約を受け付ける。
  3. SourcebooksはWattpadのコミュニティ・イベント Watty Award 2013のスポンサーとなり、トップ・ライターの出版をサポートする。

Sourcebooks商業出版社が Wattpad に期待しているのは、確実に売れる新人とアクティブなサポーターのコミュニティ、それにファンディング+予約販売のプラットフォームという、かなり「虫のいい話」だ。うまく動く可能性は高く、出版社のリスクは限りなく低い。金銭的な条件は明らかではないが、安くはないだろう。

Matwoodダブルデイ社(ペンギン・ランダムハウス系)との提携のケースでは、Wattpadを高く評価しているカナダの有名作家のマーガレット・アトウッドの提案によるもので、新作の ‘MaddAddam’ の執筆経緯を綴ったエッセイをWattpadに独占公開する。作品の背景となる、三部作の他の2作品('Oryx and Crake'、'The Year of The Flood')の抜粋も収められている。有名作家がWattpadに登場するのは初めてだが、ダブルデー社は他の作家もWattpadコミュニティに登場させ、交流を恒常化することを計画している。ファンとの交流については、出版社のブログや講演・サイン会などが使われているが、新人の登竜門として実績を築いたWattpadは、販促に直結したものが期待できる。出版社も“ソーシャル系”を「上から目線」で見ることを止めたようだ。(鎌田、09/12/2013)

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