アップルがE-Book「著者サイン特許」を申請

fat-appleアップルはE-Bookへの著者署名(埋め込み)技術についての特許申請を行った。有力メディアはこれを「アップルらしい先進的イノベーション」と称賛しているのだが、著者サインのための技術とサービスは数年前から存在しており、もちろん iTunes Storeにもある。そして今回の申請技術(下の図を参照)の、具体的にどこが「画期的」なのかについて、メディアは述べていない。

autograph-victorhugoAppleInsiderの記事(9/26)によると、著者署名は、証明された著者デバイスから、ユーザーのE-Bookに指定された専用ページや「ホットスポット」、あるいはユーザー(ないし著者)が指定した場所に挿入される形で行われる。遠隔でも可能だが、サイン会など近接した環境で、Bluetooth やWi-Fiなどの通信プロトコルを使って送信することが想定されている。本物性、一意性を担保する、著者/読者の本人認証(暗号使用)がこの技術のコアで、ユーザーのデバイスまたはクラウド上のデジタルマーカーが記入を行い、ユーザーがライブラリを同期すると確認用トークンが送られる。ざっと眺めた限りでは、デジタルの弱点である「本物性、一意性」をカバーしているので、実用的に十分なものと言えるかもしれない。

author-signしかし、申請で述べられた機能は、既存の技術の組合せで可能なもので、それに電子署名サービスは現に数年前から商業的に行われている。アップルの署名特許が、そうしたサービスを提供する小企業を「侵害」で脅かしたり、アップルが提供しない非 iOSプラットフォームを含むサービスに影響を与えるとなると、話は面倒になる。この特許が成立すれば、アップルは使わないではいられないだろう。(左は "What Do Ebook Authors Sign?" の表紙)

こうしたサービスの紹介を行ってきた専門ブログの TeleReadの記事(9/30)は、2011年5月にスタートした Authorgraph サービスや、MyWrite アプリ(下のビデオ参照)について書いている。見たところ、これらはアップルの技術よりは単純そうだ。しかしそもそも「デジタル署名」などにそれほどの意味があるだろうか。署名は長い時間を生きるものでなければならないが、デジタルが紙より「永遠」に近いと信じている人はいるだろうか。著者と読者をつなぐものはサインだけではないし、署名はテクノロジーに頼らないほど有難い。 (鎌田、10/01/2013)

 

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