米国BISGの転換に見るデジタル指向 (♥)

bisg_logo_small米国出版産業のシンクタンクであるBook Industry Study Group (BISG)は9月27日にニューヨークで年次総会を開催し、ケン・マイケルズ会長(マクミラン社)から新しい活動指針が発表された。イノベーションを促進することを前面に押し出し、その表明として「書籍産業」という名称の変更を検討していることを明らかにした。書籍からコンテンツへ、ということか。[全文=会員]

本からコンテンツへ

BISG_Michaels「BISGの使命は、出版コンテンツを創造し、製作し、配布するすべての企業と実践者、および彼らを支援する組織のために、技術革新とソリューション共有を促進することにある。」とマイケルズ会長(写真左))は述べているが、BISGの新しい指針には以下のようなことが含まれている。

  • 産業予測を行う
  • 米国出版社協会(AAP)とともに、統計システム BookStatsの改善を続ける。
  • 生徒/学生と読書に関するレポートを改善していく。
  • E-Bookの購読モデルに関するホワイトペーパーを作成・発行する。
  • 消費者態度調査を、E-Bookとeリーディングをフォローすべく調整。
  • Webの標準化団体である W3C との提携関係を強化する。
  • E-Bookの新しい標準であるEPUB3の発展に向けてIDPFとの提携を強化する。
  • E-Bookの対話性およびフォントに関する事例ガイドを出版する。
  • 出版における共通の基幹標準を理解するための新しい委員会を組織する。

一瞥して分かるように、書籍産業に関する大人しいシンクタンクから、デジタル出版の促進のためのアクション・グループに変貌しようとしていることが分かる。それは出版社だけでなく、デジタルをベースとした出版の新しいサプライチェーンに関連して登場している新ビジネスと新しいプロフェッショナルの参加も想定しているとみられる。

IDPFとの連携でEPUB3業務標準の開発促進

innovationそれを表しているのがW3CとIDPFとの提携強化で、BISGは一種の「EPUB3ユーザーズ・グループ」として、EPUB3の深化・拡張に向け重要な役割を果たしていくことになろう。EPUB3はたんなるレイアウトを超え、出版のダイナミックな側面をサポートする標準だが、それを発展させていくには出版側の標準(たとえばメタデータ、版権管理)との連携が不可欠だ。連携が機能するためには、メディア、マーケティングとITにまたがる専門家を集める必要がある。BISGはそうした専門家がコラボレーションする場となろうとしている。

具体的には、EPUB3のサブセットである「EPUB3プロファイル」などの開発・標準化などが進んでいく。日本はデジタル出版の標準としてのEPUB3の最終列車に間に合い、なんとか21世紀を迎えているわけだが、「日本語組版」は入口であって出口ではない。EPUB3のビジネス標準はこれからなのだ。(鎌田、09/30/2013)

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