米国大手E-Bookの図書館開放で前進

library45大出版グループの一角、マクミラン社は10月17日、E-Bookの既刊本1万1,000点以上をすべて図書館への貸出に提供すると発表した。これまではミノトール・プレスのタイトルを試験的に供してきただけだったが、新刊と最近刊 (front list) を除くすべてが貸出されることになる。大手出版社のE-Book貸出方針は開放に向かっているが、なお無意味な制限を付けているものが少なくない。

lgo_macmillan既刊本は、図書館への配信を行っているOverDrive、3M、Baker & Taylor、Recorded Booksの各社を通じて行われる。金銭的な条件についての変更はなく、価格25ドルで、2年間もしくは貸出回数で52回のいずれか早いほうと設定されている。安くはないが、とりあえず配信会社は歓迎している。これまで2年間、提供を停止してきたペンギンは9月26日、フロントリストを18.99ドル、バックリストを$5.99~9.99で提供することを発表し、アシェットは5月に全カタログを開放している。サイモン&シュスターはまだ試験段階。ランダムハウスは図書館向けの高価格での提供。ハーパーコリンズは印刷本と同価格での提供で26回の制限付となっている。

図書館の買入が売上の3割以上を占め、SNSなどを通じた宣伝効果も期待できる中小出版社と異なり、本は消費者が買うのが当然と考えている大出版社は、図書館の貸出を「必要悪」くらいにしか考えていない人が多い。E-Bookの貸出によって売上が減ると短絡した出版社は、貸出を拒否あるいは制限したり、呆れるほどの高価格をつけたりしてきた。米国図書館協会は、データを手に粘り強く交渉してきたのだが、その成果で、一歩づつ前進している。さらにもう一歩踏み出すには、貸出のマーケティング効果を総合的に検証し、実証データで示すことが必要だと思われる。

bibliotech7図書館とE-Bookの関係では、とくに貧困層が多く居住し、かつ図書館も書店もない地域に電子図書館を設置する試みが始まっている。テキサス州ベクサー郡のフルデジタル図書館 BiblioTech のプロジェクトは本誌で以前取上げたことがあるが、9月に立上げに成功したことが伝えられているのは嬉しい(TeleRead, 10/20)。かつて本へのアクセス(によって生まれる読書空間)は「社会」が成立するための条件と考えられてきた。社会はコミュニケーションによって成り立ち、読書空間の共有はその条件となるからだ。読者を育てることは出版に携わる者の義務でもある。(鎌田、10/23/2013)

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