「大企業が好きな人間はいらない」ドーレ会長

PRH巨大出版社 PRHのマルクス・ドーレCEOは、フランクフルト・ブックフェア(FBF)でのスピーチの後、専門記者からの合同インタビューを受けたが、1時間に及ぶその内容は Publishing Perspectivesで紹介された。「機知とユーモア、常套句と含蓄のある切り返しに富んだ」応答は、この経営者の器の大きさを感じさせた。社内や出版関係者からは歓迎されるだろう。

合併によって小企業の集合というDNAは変わらない

FBF_logo6強と言われた世界の大手の2社による合併劇について、質問が集中したのは当然だが、「メディアの皆さんにはお詫びをしなければなりませんが、私たちはこの合併を、企業合併史で最も退屈なものにしたいと考えています。」と言ってかわし、新会社の戦略はじっくりと時間をかけて考えていると語った。その上で、両社はもともと何年にもわたる中小出版社の吸収によって出来上がったもので、250もの小出版社のDNAを持っていると誇った。

つまり、ブランドは残しつつ、そのパワーをフルに発揮するためのインフラとシステムを考えるのがPRHの役割であるということだ。通常の大企業の合併では、それが先にあり、リストラによる経費削減効果を求めて、小出版ブランドの個性は磨滅してしまうが、それはしないということ。作家であれ編集者であれ、クリエイティブな人間で「大企業が好きな人間は一人も知らない」と言い切った。「大企業が好きな人間はいらない」というメッセージでもある。

出版とは畑違いからの出身で、つねに注目されるが、「私のモットーは“品質はスピードに優先する”で、印刷本を諦めるつもりは毛頭ありません。それはつねに重要なものであり続けます。50年ではなく、永久にです。」と断言。「フランクフルトでは、80%が紙で20%がデジタル。でもブックフェアでの話題は95%がデジタルで、印刷は5%」と皮肉った。(鎌田、10/11/2011)

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